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    〈第88回メーデー〉長時間労働根絶が焦点/平和と民主主義の危機に

     

     第88回メーデーは、労働運動にとって一丁目一番地の課題である長時間労働の根絶が焦点になります。世界では米国のトランプ政権が戦争政策を進め、国内では「現代版治安維持法」とも呼ばれる共謀罪創設法案の強行が狙われるなど、平和と民主主義の危機がかつてなく高まる下で行われることも特徴です。

     労働組合の長年の要求だった労働時間の上限規制が3月、政府の「働き方改革実行計画」に盛り込まれました。ただ、肝心の上限は過労死認定基準の水準。余暇を楽しみ、家庭、地域社会で責任を担える生活時間を確保するにはほど遠いのが実情です。

     「8時間は労働、8時間は睡眠、8時間はわれわれの自由に」というメーデーの原点の意義が今ほど響く時はありません。職場や地域で「実効ある上限規制を」の声を広げる好機です。一方、残業代ゼロで働かせ放題の「高度プロフェッショナル制度」の創設など、長時間労働根絶に逆行する労働基準法「改正」法案(継続審議中)が、一緒に成立させられようとしている点にも注意が必要です。

     米国は4月6日、突然シリアへの軍事攻撃を行いました。安保法制を昨年施行した日本は、今後一層の軍事協力を迫られることが必至です。道理のない戦争への加担は、事態をさらに複雑化させるばかりでなく、国内でのテロを誘発させかねません。

     内心を取り締まりの対象とし、捜査当局による盗聴や監視の強化、逮捕・勾留を容易にする「共謀罪」創設法案も、政府与党は6月までに数を頼みに強行する構え。暗黒の戦時体制を強め、無謀な戦争に突入した戦前日本社会に逆戻りさせてはなりません。

     

    「連合通信・隔日版」