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    組合にどう頑張ってもらうか/過労死防止学会の第3回大会/川人博弁護士が問題提起

     医師や弁護士、遺族、ジャーナリストらでつくる過労死防止学会の第3回大会が5月20、21の両日、東京で開かれた。「若者の過労自死事案の特徴と予防の課題」と題したシンポジウムでは、川人博弁護士が電通過労自死事件などを踏まえて問題提起。「企業の中に市民社会の声は届きにくい。労働組合にどう頑張ってもらうかを真剣に考えるべき時期にきた」と述べた。

     川人弁護士は、最近の過労死・過労自死について(1)深夜勤務を含む異常な長時間労働(2)パワハラなどのプラスアルファ要因――が特徴だと指摘。プラスアルファ要因として、労働者への監視、不規則労働、失敗に対するストレス、降格の恐れなどを列挙し、引き続き分析が必要と訴えた。

     防止対策に関しては「友人や家族が本人を救うのは著しく困難」「同僚が相談に乗るだけでは不十分だ」と断言した上で、こう述べた。

     「会社に対して行動する必要がある。今は遺族やサポーターが会社と交渉して処遇改善を求めているが、労働組合による行動が大切だ。(遺族に協力してくれないなど)組合を批判するだけでなく、どう頑張ってもらうか、どう強化するかを考える時期にきた。専従者配置を義務付けるなどの労組法改正も検討を」

     さらに、医師や労働行政の権限を強化すること、良心的な経営者との連携を模索することも提起した。

     2日目は業種別など五つの分科会に分かれて討論した(分科会のもようは次号に掲載予定)