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    アサヒは臨時雇用者の正規化を/豪州で食品労組が要求/国際オンライン署名を開始

     国際食品労連(IUF)は6月1日、日本の飲料大手アサヒグループホールディングスに対して、オーストラリアで正規雇用を増やすように求める国際オンライン署名運動を開始した。加盟組合の全国労働組合(NUW)を支援する取り組みだ。

     同社はニューサウスウェールズ州アルバリーと、隣接するビクトリア州ウォドンガを拠点とする水専業会社マウンテンH2Oを2012年に買収し、2年後にはボトル詰め工場を新設した。 

     NUWは現在、団体協約の締結について会社と交渉中だ。従業員の半数が臨時雇用であるため、そのうち40人を正規雇用化することを要求の一つに掲げている。職場の声は「住宅ローンを組みたい」「家庭を持ちたい」「子どもを大学に行かせたい」など、どれも切実だ。

     組合は、アサヒの従業員に会社は報いるべきだと主張し、雇用の安定化が不可欠だと訴えている。

     アサヒグループの泉谷直木代表取締役会長兼CEOに宛てたIUFのメッセージには「地元はアサヒの進出を歓迎したが、期待されていた新雇用は不安定な臨時職だった。交渉を通じて当該労組の要求通り40人の正規雇用が生まれるよう求める」と記されている。

     アサヒグループは近年、オーストラリア以外でも、中国やニュージーランド、マレーシアなどで、現地の飲料会社の株式を取得する一方、欧州ではビール事業の大型買収を進め、60カ国への販売網を確保している。海外売上高比率を2~3割に引き上げることを目指している。(ジャーナリスト 丘野進)