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    インタビュー/警察と市民の信頼関係壊す/共謀罪はテロ対策に逆行/大城紀夫・連合沖縄会長

     組織的犯罪処罰法改正案(共謀罪法案)はテロ対策のためと政府は言うが、本当だろうか。今の沖縄の状況からすれば、そうは思えない。

     沖縄平和運動センターの山城博治議長が長期間、逮捕・勾留された。米軍の高江ヘリパッド、辺野古新基地建設に反対する運動の中での微罪によるものだった。その数カ月前まで警察は彼を逮捕の対象にはしていなかった。沖縄では40年前から5月に平和行進を行っており、山城議長は2004年に事務局長を担い、平和行進の前後に各警察署を回って信頼関係をつくってきたのだ。この間、労働組合と警察の間でも信頼関係ができていた。

     振り返れば、1970年代は組合も集会やデモを繰り広げ、公安警察がわれわれをつけたり、写真やビデオで撮影したりしていた。それがなくなっていったのが90年代の後半以降。労組や平和団体は捜査の対象とはみなされなくなっていた。

     ところが、今の安倍政権の下で公安警察が再び動き出し、労組を含め運動団体はまた監視対象になった。この上、共謀罪ができたら公然と監視することができるようになる。

     

    ●オイコラ警察が復活

     

     90年代後半からつくられてきた警察と市民との協力関係は、いまや根底から覆された。「オイコラ警察」(※)の復活で、一般の市民も警察に対して懸念や不信の念を抱くようになっている。市民が警察に協力しなくなれば、本当のテロ対策はできなくなるのではないか。

     沖縄の状況は共謀罪の先取りという指摘がある。その通りであり、日々肌で感じているところだ。

     翁長知事が国との間で裁判を行っているとき、裁判所前でよく集会が開かれた。そこに公安の刑事が来ていたし、ビデオも回っていた。運動団体だけでなく、県政、県がやっていることさえ監視対象になるなど、他の都道府県では考えられないのではないか。

     

    ●既に一般人が対象に

     

     現場の警察官たちを見ていると、「こんなこと(市民への弾圧など)はやりたくないんだ」という顔つきをしている。しかし、交通や生活安全の部署と異なり、公安関係の部長は中央から送られてくる。地元出身の警察官も上司の指示には従わざるを得ないということだろう。

     全国の皆さんには、こうした沖縄の状況、つまり共謀罪が成立していないにもかかわらず監視と逮捕がまかり通っている状況をぜひ知ってほしい。

     辺野古の米軍新基地建設に反対しているのは、普通のおじさん、おばさんたちだ。活動家や組織人ばかりのように描かれるが、違う。監視され、逮捕されているのは一般人だ。一般人が対象にならないという政府の言い分はうそでしかない。

     共謀罪法案が成立すれば、全国で同じことが起きる。皆さんの地域の問題でもある。沖縄の現状にぜひ、注目してほしい。

     

    ※オイコラ警察 戦前、権力をかさに着て横柄・横暴な態度で市民に接した警察の体質をいいます。1958年には警察の権限拡大を狙った警察官職務執行法改正案に対し、国民的な反対運動が起こり、「デートも邪魔する警職法」「オイコラ警察の復活」と批判され、政府は改正を断念しました。