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    インタビュー/共謀罪は憲法改正への一里塚/人権と立憲主義が危ない/中山千弘・連合長野会長

     政府はテロ対策のために共謀罪(組織的犯罪処罰法の改正)が必要と言っている。だが、そうだろうか。特定秘密保護法と安保法が制定され、次いで出てきたのが今回の共謀罪法案だ。そうした一連の流れを見るとき、この先にあるのは本丸の憲法改正ではないのかと思わざるを得ない。安倍政権の下で憲法改正となれば、基本的人権や立憲主義、主権在民が剥奪される恐れが強い。

     

    ●監視社会の到来を危惧

     

     秘密保護法は政治的な物事の成り行きを国民に示さずに済まそうというもの。その上、共謀罪ができれば、労働組合を含め市民を監視し、縛っていくことが可能になる。支配する側と支配される側の関係。これでは治安維持法が存在した戦前のような厳しい社会の到来が危惧される。

     大分県では、警察が労働組合が入っている会館を隠しカメラで監視していた。既にこういうことが共謀罪制定に先んじてやられている。権力は国民を自由にコントロールしたがっており、外堀は埋められつつある。立憲主義の考え方からすれば、当然主権者である国民は権力に立ち向かうことがあり得る。そうした私たちの権利が奪われる一歩手前まで来ているのではないか。国民には一日も早く気付いてほしい。

     

    ●不条理と闘おう

     

     先日、熊本県で開かれた地方連合会の代表者会議で私はこの問題について質問させてもらった。

     連合として法案取り下げを目指す方針を確認し、街頭宣伝などの世論対策を展開していることは承知している。その上で、どう運動のうねりをつくるのか、連合としてのリーダーシップをどう発揮していくのかを尋ねた。他の地方連合会からも、連合本部への強い期待が寄せられている。確かに、いろいろな意見の違いはあるかもしれないが、連合はもっと不条理と闘うという強い信念と方針を示してほしい。共謀罪は、連合が闘うべき不条理だと思うからだ。

     

    ●子どもたちの未来のため

     

     長野県では今、地協段階での「クラシノソコアゲ」キャンペーンと連動し、キャラバン行動を展開中だ。最終盤を迎えた17春闘と併せて共謀罪の問題をアピールしている。

     とはいえ、組合員の反応を含め、まだまだ大きなうねりにはなり切れていないと感じている。国民はこれが自分の身に降りかかってくるものだと実感しにくいためだろう。

     北朝鮮がミサイルを打ち上げ、世界ではテロが相次いでいる。こうしたことを安倍首相らはうまく利用して「テロ対策のために共謀罪が必要」と訴えている。やり方はたくみであり、一般の人は納得してしまうかもしれない。

     私はこの先、人権や立憲主義、主権在民がわが身から剥ぎ取られてしまうことに恐怖を感じる。気が付いたときにはもう遅い。子どもたちの未来のため、何としても国民に広く問題点を伝えていかねばならない。