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    論評/それでも自民党がいいと言うあなたへ

     隠す、ごまかす、はぐらかす、うそをつく、逃げる、脅かす――通常国会で見せた安倍政権の皆さんたちによる立ち居振る舞いの数々です。

     人々の内心を取り締まり、監視社会をもたらすと心配される共謀罪創設法、首相の友だちに破格の便宜を図ったとされる森友・加計学園疑惑。いずれについても、まともな説明は行われませんでした。

     

    ●民主主義はどこに

     

     「知らしむべからず、よらしむべし」――紀元前に書かれた論語の言葉です。人民は権力者に従わせておけばいいのであって、あれこれ説明する必要はないという文脈で使われています。そうした政治が平成の世でまかり通っています。

     主権者である民の声を聞かず、やりたいことは手段を選ばず押し通すやり方は乱暴過ぎます。国会最終盤で委員会採決をパスして共謀罪法を通した「中間報告」という手法は、形を変えた強行採決にほかなりません。政策の良し悪し以前の問題であり、問答無用の国会運営は先進国にふさわしくないと思います。

     行政と権力の私物化、国権の最高機関である国会の軽視。その先には独裁体制の影がちらつきます。自民党を支持する皆さんは、こんな政治が続くのを本当に望んでいるのでしょうか。

     意見や政策の違いは熟議を経て決めること、権力の乱用・私物化などあってはならないこと、それは近代国家運営のイロハです。

     民主主義のルールと、人の道を踏み外した権力者の下で国民はどんな目に遭うかを考えてほしい。

     戦前の過ちを繰り返してはなりません。