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    共謀罪法の廃止求める/安保法に反対する学者の会

     安全保障関連法に反対する学者の会は6月18日、都内で会見を開き、共謀罪法案の強行採決に抗議する声明を発表した。「内容的にも、手続き的にも民主主義を破壊する暴挙だ」と批判。法を悪用させないよう監視し、廃止することを呼び掛けている。

     会見には7人の呼び掛け人が出席した。

     学習院大学の佐藤学教授は「採決の朝、暗黒時代の始まりだと思った。治安維持法によって、政府の方針に背く者は監視や拷問の対象にされた戦前の日本を想起せざるを得ない」と指摘。神戸女学院大学の内田樹名誉教授は「一番恐いのは、市民レベルで『反日・反政府』勢力は排除してもいいんだという誤解を与えること。政府はそういう素地をつくろうとしている」と批判した。

     今後の活動や取り組みについて、京都大学の高山佳奈子教授は「テロ対策やオリンピック対策のために共謀罪が必要というのは虚偽。しかし、そうした情報が国民に十分に行き渡っていない。まずは国民に知ってもらうこと。法案を推進した勢力を批判し続けることが必要だ」と語った。

     内田氏は「市民レベルでは、共謀罪が必要という人たちを敵視しないこと。敵視すれば社会の分断が進むだけ。一人一人が身近なところで意見の違う人とも対話し、そのネットワークを広げていくことだ。身銭を切った手作りの運動を進めるしかない」と述べた。