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    「クスリのアオキ」を提訴/UAゼンセンが全面支援/育児制度利用の女性狙い撃ち

     北陸地方を中心に店舗展開するドラッグストアチェーン「クスリのアオキ」(石川県白山市)で、育児短時間勤務中だった30代の女性が、閉店までの「遅番勤務」に就けないことを理由に退職を強いられたのは違法だとして6月19日、同社を相手に金沢地裁に提訴した。地位確認と、「退職日」翌日から現在までの賃金支払いを求めている。同社にはUAゼンセンの組合があり、女性を全面支援している。

     訴状によると、女性は2003年以降、同社で正社員として働いてきた。第2子出産後、16年に社内の育児短時間勤務制度を利用し職場復帰。5月には(1)閉店までの遅番勤務に就業日の半数近い月9回入るか(2)退職かパートなど他の雇用形態で働くか――の選択を当時の店長やその上級職に迫られ、退職を余儀なくされたという。

     遅番の退勤時刻は、閉店後の片付けを含めて午後10時半ごろ。女性が子どもを預けていた保育園は午後7時には閉園するため、遅番勤務の免除を訴えていた。第1子出産後に同じ制度を利用した際は、遅番を免除されていた。

     同様の退職勧奨を受けた人は他にも数人いる。全員が、短時間勤務制度を利用した女性社員だった。原告は、性による差別的取り扱いを禁じる男女雇用機会均等法や、深夜業制限の請求を理由に不利益取り扱いをしてはならないとする育児・介護休業法などに違反すると主張している。

     退職の迫り方も荒っぽい。ゼンセンによると、退職届を提出していないのに卓上カレンダーに「○○さん(女性のこと)引退」と書かれたり、店長がパソコン上の退職届作成画面を開き、笑いながら女性にクリックを強要したりすることがあったという。

     労組は女性から相談を受け、同社に対して謝罪や救済、原状復帰、関係者の処分を要求。同社は今年1月、女性をいったん職場に戻すと決め、勤務シフトや制服などを準備したが、復職ではなく「新規採用」に固執。そのため、労使で並行線が続いている。

     

    ●正常な労使関係を

     

     同社と組合とは正社員についてユニオンショップ協定を結んでいる。ゼンセンによると、現在の代表取締役社長が14年に就任後、労使関係が悪化している。4月には組合大会を開き、女性を全面支援する決議を採択した。

     同社は14年、向こう8年間で350店に増やす方針を策定。業界団体である日本チェーンドラッグストア協会の会長には、同社の持ち株会社の取締役会長が就任している。

     UAゼンセン流通部門の西尾多聞事務局長は「仕事と家庭の両立がいわれるなか、社会的にも問題となる事案だ。本来ならば労使関係で解決したい問題だが、やむなく裁判となった。正常な労使関係の構築を望んでいる」と話している。