「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    6社で勤務間インターバル協定/北海道のタクシー労使/市民の信頼確保を訴え実現

     タクシー業界で初の勤務間インターバル協定(休息時間保障)が今春、北海道で締結され話題を呼んだ。6月にはさらに2社で協定が結ばれ、計6社に。市民からの一層の信頼を確保するためにも、安全運行と健康維持を労使で確認することが必要と訴えた成果だ。

     全自交北海道地連は今春闘で、産別本部が掲げる統一要求に、勤務間インターバル協定を独自要求として追加した。同地連の鈴木久雄書記長は「北海道は経済環境が厳しく、賃金面の改善は厳しい。それならば労働環境の改善を、と考えた」と話す。

     締結したのは、札幌交通圏の6社(朝日交通、北都交通、日北交通、北星タクシー、さくら交通、ダイコク交通)。

     対象は2交代勤務の従事者。協定の休息時間は11時間以上で、欧州並みの高い水準だ。

     2交代勤務は、昼番と夜番の乗務員が1台の車を交代で乗るため、乗務後12時間以内には次の人に車を引き渡さなければならず、現状でも11時間以上の休みを確保できているという。鈴木書記長は「人の命を預かる公共交通。乗務員の高齢化が進む中、市民の信頼を得るためにも、確実に休息して疲労を回復し、安全運行を確保する仕組みを労使で確認することが必要だ」と話す。

     例えば、勤務終了間近に長距離の客を乗せたことで乗務が13時間を超える場合、超過した時間だけ、翌日の勤務開始を遅くする。また、人繰りがつかず交代要員がいない場合に、長時間働かせようとする使用者へのブレーキとなり、乗務員に休息時間確保の自覚を促す効果も期待される。

     一般的にタクシーのシフトは、2交替勤務よりも隔日勤務が主流。1回の乗務で19~21時間勤務し、翌日は明け番となる。高齢化による日勤希望者の増加や、職住接近による短い通勤時間、昼夜ともに客足の多い歓楽街・ススキノを抱える札幌交通圏の特性から、隔日勤務の採用が減りつつあるという。

     札幌交通圏にはタクシー会社が四十数社あり、同地連の組合があるのはその約半数に上る。この取り組みは来春闘も継続する考えだ。経営側からの強い抵抗はなく、来年以降もさらに増加すると手応えを語る。