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    日本の最低賃金を考える(3)/地方自治体の要望増える

     拡大する一方の最低賃金の地域間格差について、地方自治体からも政府に対する要望が相次いで出されています。国に抜本的な中小企業支援を求める要望とセットで行われている点が特徴です。

     山形県は6月、国に対し「ランク制度の見直しや全国一律の適用」を求めました。最賃に関する要望は今年が初めて。都道府県知事が全国一律の適用を求めるのも初めてだといいます。同県の担当者は「地域間格差があるのは地方創生の観点からも問題がある。人口流出が止まらない一因でもある」と説明します。

     岩手県議会では「全国一律最賃制度の確立等、地域間格差を縮小させるための施策」を求める請願が、賛成多数で採択されました。全国一律制の要望は一昨年まで不採択でしたが、昨年以降、改選後再編された、民進、自由系会派が賛成に回り、採択されるようになっています。

     秋田県は今年もランク制見直しを国に要望。最賃引き上げを求める陳情は県内25市町村議会中、21議会で採択されています。

     これらを、中小企業支援拡充とセットで要望している点が特徴。また、地方最低賃金審議会の答申でも同様の要望を明記するケースが増えています。

     福島の最賃審は昨年の改定審議の答申で、中小企業支援策として「社会保険料の減免等により即応性、実効性の高い施策の実施」を要望しました。社会保険料減免はフランスで実際に行われた支援策です。大阪の最賃審は答申で国の支援措置を強く求め、「公正な取引慣行の構築」などの措置を要望。京都は効果的で利用しやすい助成金の新設を求めています。

     地域間格差の是正と中小企業支援は、最賃を引き上げる上で重要なキーワードとなっています。