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    核兵器禁止条約を採択/国連会議/問われる被爆国政府の対応

     核兵器の使用や生産、製造、保有などを禁じる核兵器禁止条約が7月7日、国連の同条約交渉会議で採択された。条約の禁止条項には「核兵器による威嚇」も含まれており、核兵器を正当化する論拠となっていた「核抑止論」を明確に否定したのが特徴。122カ国が賛成した。

     核兵器を「違法」とする国際法は初めて。核兵器が国際法違反と位置づけられたことは、核兵器廃絶への大きな一歩になるとみられている。条約には「ヒバクシャの受け入れがたい苦痛を心に留める」という文言が前文に明記されていて、被爆者や核実験被害者に対する支援も本文に盛り込まれた。

     一方、米ロをはじめとした核保有国と「核の傘」に入っている同盟国の大半は交渉会議をボイコットしていた。条約成立後、米英仏は「安全保障の現実を無視」との声明を発表。日本政府も「署名しない」と表明した。

     

    ●まだ仕事は残っている

     

     記者会見した日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳代表委員は「感無量」と喜びを語るとともに、条約成立は核兵器廃絶への道筋をつけるという見方を示した。一方、核保有国などが条約を拒否している点については、「市民の『核兵器いらない』の声を大きくすることで、参加を求めていきたい」と、ヒバクシャ国際署名の推進などを訴えた。

     前代表委員の岩佐幹三顧問は「原爆で亡くなった人の死が無駄でなかったことを明らかにしてくれた」と評価。「(核兵器廃絶へ向けて)まだわれわれの仕事が残っている。一歩一歩進めていきたい」と決意を語った。