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    AIは労働者を幸せにするのか(4)/雇用へのプラス面を強調

     AIによる雇用への影響については政府も調査を行っている。その一つが総務省の「ICT(情報通信技術)の進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(2016年3月)。AIの積極面に焦点を当てている。

     想定される影響は(1)雇用の一部代替で人間はより創造的な業務に移行(2)雇用の補完(労働力不足をカバー)(3)企業の競争力向上による雇用の維持・拡大(4)女性・高齢者などの就労環境の改善――の四つ。いずれも雇用にプラスという結論だ。

     安倍政権はAIなどによる第4次産業革命を「アベノミクスの第2ステージの鍵」と位置付けている。これを進める上で障害になりそうな結論をあえて避けたのか? マイナス影響を真剣に検討しない総務省の姿勢が気になる。

     人工知能学会でも、第一線の研究者からの発言の多くは、雇用問題に対して楽観的だ。〃AIは発展途上。人間の方が優位〃との立場の山田誠二学会会長(国立情報学研究所教授)は「人間とAIが得意分野を補いつつ協働して問題解決をしていくようになる」と今後を展望する。

     AI研究・開発を行うUEIの清水亮社長は「単純作業など人間がやらなくてもいい仕事は世の中にたくさんある。AIは、そんな仕事から人間を解放」と話す。技術進歩により消える職業が出るのはやむを得ないといった発言は他にも続いた。