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    「高プロ制は過労死を加速」/遺族や労働弁護士が訴え/連合に共闘呼び掛け

    過労死で家族を亡くした遺族や労働問題に取り組む弁護士らが7月26日に都内で記者会見を開き、一定年収以上の専門職を労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度(高プロ制、残業代ゼロ制度)への反対を訴えた。高プロ制容認で揺れた連合に対しては、「ともに闘ってほしい」と呼び掛けた。

     

    ●防止法の流れに逆行/全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表

     

     家族の会には長時間労働によって家族を亡くした多くの遺族から相談が寄せられている。労働時間の規制をなくす高プロ制は過労死を促進する働かせ方。過労死等防止対策推進法の流れに逆行するもので、容認することはできない。

     連合は、高プロ制を盛り込んだ労働基準法改悪案に反対して、私たちと一緒に闘ってほしい。

     

    ●電通事件を繰り返す/過労死弁護団全国連絡会議の川人博幹事長

     

     労基法見直しでは、特に企画業務型裁量労働制の適用範囲拡大が大きな問題。営業職の労働者は事実上無制限に裁量労働制の対象にされる。過労自死した電通の新入社員、高橋まつりさんの働き方も容認することになる。企業で働くサラリーマンの実態を見れば、何らかのことで企画に関与しており、長時間労働の規制を外されるだろう。政府の「働き方改革」は、長時間労働を一層加速させ、促進させる内容だ。

     

    ●成果型とは無縁の制度/日本労働弁護団の嶋崎量事務局長

     

     政府は残業代ゼロ法案・定額働かせ放題とも呼ばれる高プロ制と、残業時間の上限規制という相反する内容を一つの法案にまとめて国会に提出しようとしている。これは全く矛盾している。メディアは高プロ制について、執拗(しつよう)に政府が言う通り「成果型賃金」と呼び報道しているが、この法案はどう読んでも「成果型」などではない。国会でも明らかにされ、専門家も指摘している事実だ。「成果主義」と呼ぶのは論外であり、報道のプライドがあるなら政府のデマを広めるべきではない。

     労働弁護団としては、(高プロ制に反対してきた)連合にエールを送りたい。必ず共に闘ってくれると信じている。

     

    ●裁量制に裁量望めず/ブラック企業被害対策弁護団の佐々木亮代表

     

     高プロ制導入と企画業務型裁量制の適用を拡大するこの法案は、ブラック企業に栄養を与えるものだ。

     企画業務型裁量制について、(政府は)まるで自分で仕事を裁量できるように言うが、(適用になれば)自分の裁量など問題にならないほど多くの仕事が与えられることになるだろう。現行法でも仕事が終われば早く帰宅してもいいし、早く帰る人に給与を満額支払うこともできる。それで労働生産性が上がるというなら、企業は既にやっているはずだ。