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川俣町山木屋地区の世帯帰還率は今年7月1日現在で約24%。87世帯、196人が生活を始めているが、その多くが高齢者だ。隣接する飯舘村はさらに厳しく、人口6000人のうち村に戻ったのは400人に満たない。
帰還を阻む最大の要因が高い放射線。飯舘村役場の門前に設置されているモニタリングポストの放射線は毎時0・35マイクロシーベルトを示していた。政府が決めた年間20ミリシーベルト内には収まるが、一般に許容される年間1ミリシーベルトを確実に上回る。
※空間線量が毎時0・23マイクロシーベルトの場合、年間1ミリシーベルトの被ばくに相当するといわれている。
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●10万ベクレルのきのこ
住宅地や田畑といった生活・生産の場所は除染が終わっている。だが山林は原発事故以来、まったく手つかずだ。
「村の面積の7割以上が山林なのに、ここを除染の対象外にしているのが国の方針」と飯舘村職員労働組合の荒真一郎委員長は批判する。
試験的に作った米からは放射線が検出されないなど、平地の農作物には出荷の展望があるという。ところが山で採れる山菜やキノコは別。「昨年採れたものからは10万ベクレル※が検出された。桁違いの汚染だ」と顔を曇らせる。
※政府の基準では一般食品の放射性セシウムの基準値は100ベクレル。飲料水は10ベクレル。
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●子どもたちは戻れるのか
そうした環境が、子どもたちの帰還を大人たち以上に難しくしている。
川俣町職員労働組合の大槻友徳書記長は「来年4月の学校再開準備を町で進めているが、子どもたちが本当に戻ってくるのか見極めないといけない。再開するにしても、小中学校を一緒にしたり、複数の学年を一つにまとめる必要があるだろう」と話す。
飯舘村も状況は同じだ。来年4月に幼稚園と小学校、中学校を元の中学校敷地内に集めて再開する計画。しかし、震災前約650人だった児童・生徒の数は50人程度にまで減る見通しだという。それでも同村職員労組の荒委員長は「学校のない村に未来はない」と再開に期待を込める。
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