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    無期転換権「知らない」8割超/連合調査/賞与支給、7割が対象外

     連合がこのほど行った有期契約労働者への調査によると、一定の条件を満たす場合に無期契約に転換できる改正労働契約法のルールについて、内容を「知らない」と答えた人の割合が8割を超えたことが分かった。正社員との格差も依然深刻で、7割が賞与の対象外と答えた。

     旧民主党政権時に成立した改正労契法では、勤続5年を超えると見込まれる有期契約労働者が希望する場合、使用者は無期契約に転換しなければならない。施行から5年を超える来年4月に転換が始まる。

     調査では、ルールの内容を「知っていた」は15・9%で、「ルールができたことを知っているが、内容は知らなかった」が32・9%、ルール自体を「知らなかった」が51・2%に上った。内容を含め、知らなかった割合は計84・1%となる【グラフ1】。

     ルールの存在や内容をどこで知ったかという問いには「マスコミ」が50・7%で、「勤務先からの説明」は35・9%にすぎない。

     ルールの発動を前に、脱法的な雇い止めの発生が今秋以降懸念される。

     一方、「契約期間が無期になるだけで待遇が正社員と同等になるわけではないから意味が無い」との設問に同意した人は54・5%にも上る。4年前の調査より約14ポイント減っているとはいえ、半数強が冷めた目で見ていることが分かる。

     働き手をつなぎとめ人手不足を解消するには、無期転換だけでなく、処遇の改善が必要ということを示している。

     

    ●一時金、退職金で大差

     

     改正法で新設された「不合理な労働条件の禁止(第20条)」との関わりで、格差の現状も聞いている。

     ボーナス(一時金)の支給が「正社員と同じ内容・基準」で行われているのはわずか4%で、「異なる内容・基準」は25%、支給対象外は71%にも上る【グラフ2】。政府の「同一労働同一賃金ガイドライン案」では、一時金は正社員と同じ基準で支給されなければならないとされている。退職金については、支給割合が1割強に過ぎず、88%が支給対象外だ。

     福利厚生関連で「利用できない」と答えた割合は、それぞれ項目ごとに、食堂36%、駐車場45%、休憩室17%、慶弔休暇取得45%、教育訓練51%、健康診断32%となっている。いずれの項目も職場に労組が「ある」と答えた人ほど、利用できない割合はおおむね1~2割程度少ない。

     調査は4月、調査会社を通じて実施。民間企業に週20時間以上勤務する20~59歳の有期雇用の男女千人から有効回答を得た。