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    沖縄レポート/アメリカを恐れさせた男/瀬長亀次郎を描く映画が人気

     8月12日から那覇市の桜坂劇場で公開されているドキュメンタリー映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」(佐古忠彦監督)が大人気だ。

     最初の2日間は劇場の外まで長い行列ができ、大きく報道された。1週間立っても1日3回の上映ごとに行列ができている。「往年の大スターに会いに来ている」と評するコラムが地元紙に載ったが、カメジローを思い起こして沖縄の未来を切り開きたいという思いが、中高年の人たちに足を運ばせているのではなかろうか。

     カメジローとは瀬長亀次郎(1907~2001)である。今年が生誕110年の、沖縄の戦後史を代表する政治家の一人だ。沖縄人民党を結成し、米軍統治下で那覇市長や琉球立法院議員を務め、軍政と闘った。日本復帰が決まり、70年に行われた国政参加選挙で衆議院議員に当選。その後7期連続当選した。73年の日本共産党合流後は共産党副委員長も務め、90年に政界を引退した。

     

    ●不屈の精神引き継ぐ

     

     佐古監督はTBS「筑紫哲也ニュース23」のキャスターとして、8万5千人が参加した95年の県民大会の熱気に触れ、沖縄の民衆運動の歴史に関心を持ち取材を続けてきた。初監督となる今回の作品では、復帰45年を経ても米軍基地が集中する沖縄で、瀬長さんの「不屈」の精神を引き継ぎ県民が諦めずに声を上げ続ける理由を探った。

     名護市辺野古や東村高江で体を張って工事強行に抵抗するお年寄りたちが、なぜそこまでやるのか。その答えは、悲惨極まる沖縄戦とその後の戦後史にある。平和と人権、民主主義を求め続けた戦後沖縄の民衆運動のリーダーの一人であるカメジローの存在が際立つのはその人間的魅力であり、ことに演説は人々を引きつけた。そこに米軍当局は危機感を抱き、さまざまな攻撃を仕掛ける。

     

    ●今の沖縄と重ねて

     

     この8月12日、那覇市で4万5千人の県民大会が開かれた。辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議主催の「翁長知事を支え、辺野古に新基地を造らせない県民大会」。今回は県議会の全会一致を前提とせず、その分、規模がやや小さくなったものの、炎天下にこれだけの人が集まったことは成功と言っていい。

     映画では、50~60年代と変わらない沖縄の現状に諦めず主張を続ける県民の姿を重ね合わせた。沖縄に対するヘイトスピーチ、フェイクニュースが一部メディアでも横行している現在、沖縄の人々がなぜ不屈の戦いを続けるのかを知る格好の教材になる映画だ。26日からの東京・渋谷のユーロスペースを皮切りに全国で公開される。(ジャーナリスト 米倉外昭)