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    「正規・非正規が一体で運動」/今秋から取り組みスタート/改正地公法・自治法への対応

     自治労連はさいたま市で開いた大会(8月27~29日)で、改正地方公務員法など(2020年4月施行)を受け、付属方針を提起した。タイトルは「自治体・公務公共サービスのあり方を問い直し、非正規雇用職員の処遇改善と組織化に取り組もう」。施行まで3年間の中期方針として「正規・非正規つなぐアクション」の運動を進める。

     改正法は、これまで一般職、特別職、臨時職などとバラバラだった任用根拠を整理し、大半の職員を新たにつくる「会計年度任用職員」(フルタイム、パート)に移行させる。フルタイム職員には給与と手当を支給、パートには期末手当(一時金の一部)のみを支給できることとした。

     自治労連は、改正法について(1)正規職員を減らしてフルタイム会計年度任用職員などで補充する恐れ(2)フルタイムとパートの処遇を労働時間で差別するのは許されない(3)「1年任期」を法制化したことで雇用の不安定化・雇い止めが懸念される(4)既に勝ち取ってきた労働条件の低位平準化を招きかねない(5)労働委員会を活用してきた特別職職員の運動が困難になる――などの問題点を指摘。国会答弁や付帯決議で一定の歯止めが掛けられたものの、労働組合として積極的に要求することで、改悪を阻止し改善につなげられると訴えている。

     今秋から取り組みをスタート。基本要求(表)を提出し、当局の姿勢を確認する。学習・懇談・実態把握を通じて単組要求を確立し、条例や規則の改正に反映できるよう労使合意を目指す。

     自治労連は「2020年施行は遠い話ではない。総務省は19年3月議会までの条例・規則改正を求めており、それまでに労使合意が求められる。18年の秋季年末闘争が制度確定に向けた最大のヤマ場になる」と指摘している。

     特に重視しているのが正規・非正規が一体で取り組むことと、非正規職員を組合に迎え入れて自ら運動を進めること。正規職が切り縮められることになれば、住民サービスを支える職場体制が維持できなくなると訴えていく。

     

    ●職場レポート作成へ/非正規公共評の方針

     

     自治労連の非正規雇用・公務公共関係評議会(非正規公共評)は、改正地公法と自治法に対し「『いつでも雇い止め、いつまでも非正規』を許さない」を合言葉に、取り組みを進める。併せて、関連職場の非正規については、労働契約法に基づく無期転換を追求する。

     処遇の切り下げや雇用の不安定化の阻止にとどまらず、思い切って正規化と正規の人員増を目指す。

     特に重視しているのが職場レポートの作成だ。「話そう、伝えよう、私の仕事~やりがいがある自治体の仕事と労働者の願い」(仮称)で、非正規職員が担っている仕事の中身や専門性、責任の重さなどを明らかにする。正規職員と同様の仕事であれば、堂々と正規化を要求する根拠として活用するのが目的だ。

     松尾泰宏事務局長は「実態把握を当局任せにしていたら、『事務職は補助的業務に過ぎない』とか、保育士の仕事を『単なる子守』程度にしか見られない恐れがある。保育士が子どもの発達保障を担っていることなどを、当局や地域社会にも明らかにしていこう」と呼び掛けている。