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    労働側、対決姿勢強める/労働政策審議会労働条件分科会/労基法改正案の一本化を審議

     政府は、労働時間規制の適用を外す高度プロフェッショナル制度(高プロ制)の創設と企画型裁量労働制の適用職種拡大を盛り込んだ労働基準改正法案をいったん取り下げ、罰則付き残業上限規制を設ける労基法改正と合わせ、一本の法案にして臨時国会への提出をめざしている。そのための審議が8月30日、労働政策審議会労働条件分科会で始まった。労動側委員全員が一本化反対を表明するなど対決姿勢を強めている。

     この日の審議では法案要綱案は提示されず、高プロ制、企画型裁量労働制の適用職種拡大、法案の一本化の是非が議論された。

     連合の神津里季生会長が「一本化の必要はない。労政審ではガツンと主張する」(8月28日、新潟市)と述べたように、労働側は全員が両制度の創設・拡大について「長時間労働を助長しかねない」などと反対を主張。使用者側は「一本化することで長時間労働と生産性向上をともに実現できる」などとして賛成を表明した。

     厚生労働省は4回程度の審議で、臨時国会に法案を提出する考えとみられる。

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     審議後、同省前では連合が報告集会を開催。組合役職員ら約百人が参加した。労働側委員の村上陽子総合労働局長は両制度の弊害について「さらに追及していく」と決意を語った。

     その後、全労連や全労協、中立の組合でつくる「雇用共同アクション」のメンバーら約百人が抗議行動を展開。全国過労死家族の会の寺西笑子代表が「経営側が思うままの働き方改革は許されない」と慎重な議論を求めた。