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    非正規の組織化・処遇改善へ/自治労大会/単組の立て直し呼び掛け

     自治労は8月28~30日、新潟県内で定期大会を開き、2020年の改正地方公務員法施行を見据えて、臨時・非常勤職員の組織化と処遇改善に集中して取り組むなどの運動方針を決めた。組合員減少への危機感を表明し、仲間と職場、地域を守る活動を呼び掛け、単組力量の向上へ県本部が支援することも確認した。政治方針では「野党共闘支持」を明記。憲法改悪阻止の取り組みも重視する。討論では連合への注文が複数出された。

     

    ●「組織存続の危機」

     

     運動方針は、全国64万人超の臨時・非常勤職員の組織化・処遇改善を重点課題に設定した。地方公務員法改正については「初めて(臨時・非常勤職員の)存在が明確に位置づけられたものであり、『官製ワーキングプア』と称される課題の解決に向けた第一歩」と評価。当事者を抜きにした処遇改善には限界があるとし、15年大会で確認した「非正規労働者10万人組織化計画」(~19年8月)の着実な推進を求めている。

     川本淳委員長は「『会計年度任用職員』の新設とともに、給与体系が変更され、期末手当などの支給が明確化された。法施行を待つことなく、組合加入の呼び掛けと説明会の開催、条例制定に向けた当局交渉などをしっかり進めていただきたい」と、積極的な取り組みを訴えた。

     組織の現状への危機感を率直に表明しているのも、今回の方針の特徴だ。2000年に100万人いた組合員は15年調査で81万人に減少、新規採用者の組織率は80%から66%に低下した。方針は「組合の存在意義が見えにくくなり、それが組織率の低下につながり、結果として組合の担い手不足を招くという深刻な悪循環に陥りつつある」と指摘。「組織の存続そのものが危機を迎えているといっても過言ではない」と警告している。

     そのため、組合員一人一人を大切にする単組の活動を強化するとともに、県本部に対しては「単組活動に対するバックアップを最大限に重視した体制づくりと情報発信」を求めた。

     討論では「要求提出ができない、集会の開き方や交渉の仕方が分からない。役員が毎年変わるため、経験の継承ができない。単組力量の向上は喫緊の課題だ」「職場はほとんど会話がなく、仲間意識がなくなっている。声かけをし、賃金闘争、人員要求闘争につなげたい」など、提起を真剣に受け止める意見が相次いだ。

     方針は、賃金闘争と統一闘争の再構築、自治体財政の確立も重点課題に設定している。

     

    ●岸真紀子氏を擁立

     

     政治課題では方針に「『安倍1強』に対抗するには野党が連携を強化することが必要。『野党共闘』を支持して臨む」と明記。「『安倍政治をこれ以上続けさせない』という目標の下、総選挙での野党勢力拡大と、参院選の必勝を勝ち取る」とした。次期参院選に、今期で勇退する相原久美子議員の後任として、岸真紀子氏(自治労北海道)の擁立を確認した。

     安倍晋三首相が打ち出した憲法改正についても、方針は「立憲主義を真っ向から否定し、平和を脅かす。断固反対していかなければならない」。川本委員長は、政権が改憲のトーンを弱めていることに触れ、「一時的な先送りに過ぎない。引き続き警戒心を持ち、中央、地方で秋以降たたかっていかなければならない」と油断を戒めた。

     

    ●連合の混乱に苦言

     

     大会では、労働時間規制の適用を外す「高度プロフェッショナル制度」をめぐる、連合の混乱に苦言を呈す意見も出された。同制度で公務員は対象外だが、自治労内には民間労働者も少なくなく、同制度には反対と主張している。

     来賓あいさつした連合の神津里季生会長は、連合が同制度を容認したという認識が広がっているのは報道に基づく誤解だと弁明した。これに対し、岡山県本部の代議員は「地方連合会や単組には情報がなく、不安な思いをさせられた。神津会長のあいさつは歯切れが悪かった。もっと覇気を出してほしい。自治労本部は労基法改正案反対、野党共闘で神津会長を後押ししてほしい」と発言。高知は「理不尽と闘うことが労働運動の使命だと腹をくくって労政審に向かってほしい。組合員から支持を受ける連合運動に」と運動の立て直しに期待を寄せた。

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     新役員の改選が行われ、川本淳委員長、福島嘉人書記長をそれぞれ再任した。