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    英マクドナルドで初のスト/賃上げと「ゼロ時間制度」廃止求め

     9月4日に取り組まれたファストフード労働者らのグローバルアクション。今回大きな盛り上がりをみせたのが、マクドナルドの2店舗で初のストライキが行われた英国だ。労働者は賃上げと、所定労働時間を定めない「ゼロ時間制度」の廃止を強く要求。経営側からの報復を懸念しつつも「もう立ち上がるしかない」と参加した。国内外の労働組合からは多くの励ましのメッセージが寄せられたという。

     ストを打ったのは、ケンブリッジとクレイフォードの2店舗。労働者は食品関係労組(BFAWU)に加入し、96%の高率でスト権を確立していた。「24時間行動」は深夜にスタートし、午後2時にはストを支援しようと、さまざまな労組の組合員や市民が駆け付けた。

     

    ●生活できない低賃金/スト労働者の声

     

     労働組合のニュースやマスコミがストを行った労働者を紹介している。

     スティーブ(25)はケンブリッジ店で働き、時給は7・6ポンド(約1080円)。「週35時間働いている。なんとか生活できているのは、食事を全部店で済ませているから。今はやっとシェアハウスに入ったけど、それまでは家賃が高すぎてアパートを借りられず、あっちこっちで寝泊りしていた」と語る。スティーブは店から「明日から来なくていい」と言われないか、常に心配しているという。「私の友人は、休暇を取って戻ったら週5日勤務が週1日に変更されていた。理由は説明されないままだった」と述べ、こうした状況を改善するため、ストに参加したと話した。

     シェン・バトマツはクレイフォード店で働く女性。「マクドナルドはグローバルな大企業だけど、働いている私たちは標準的な暮らしさえできない。今日のストライキは、公正な賃金を求める国際的な運動の一環。マクドナルドは全ての従業員の声を聞き、すぐに手を打ってほしい」

     

    〈用語解説〉ゼロ時間制度

     

     始終業時刻を決めず、使用者の都合で始業を遅らせたり、早く帰らせたりする制度。出勤しても、客の入りが悪ければ待機させられたり、「今日は帰れ」と言われたりします。賃金は保障されません。店長に逆らったために労働時間を減らされることもしばしば。マクドナルドは今年の初め、制度を改善すると約束したものの、その後何も対策を取っておらず、今回のストではゼロ時間制度の廃止が要求の柱の一つになっています。