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    〈技官レポート〉「リフター」の危険周知を/トラック業界の災害防止

     トラック業界を取り巻く環境は、取り扱う荷物量の急増やドライバー不足により以前よりも厳しい状況が続いている。

     特に人手不足は顕著だ。全業種の新規求人(7月)は前年同月比で3・5%増だったが、運輸・郵便業は9・2%もの大幅な増加となっている。週休3日制を導入すると表明した企業が話題になるなど業界全体であの手この手の求人アピール合戦を繰り広げている。

     

    ●荷台から転落

     

     2016年に陸上貨物運送事業(陸運業)で発生した休業4日以上の労働災害は1万2747件で、全業種の10・8%を占める。そのうち、約3割が「墜落・転落災害」である。陸運業ではトラックの荷台や運転席から降りる際に発生する災害が意外に多い。

     私は署の安全専門官の時代に、トラックのテールゲートリフター(トラックの荷台後方に設けられた荷物の積み降ろし用の昇降装置、以下リフター)から転落して死亡した災害の調査を担当したことがある。荷物をトラックの荷台から運び出して、リフターで地面に降ろそうとしたところ、労働者がリフターの端からトラック後方に転落してしまった。リフターの高さは約1メートル。以前にこのリポートで「1メートルは、一命取る(1メートルの高さでも打ちどころによっては死亡災害に至る)」という言葉が建設業界では広く使われていると紹介した。陸運業でも現実に起きているのだ。

     調査で実際にリフターに乗ってみた。その端部には転落を防ぐ手摺りなどはない。1メートルの高さでも結構な怖さを感じる。加えて、被災者は後ろ向きで荷物を引き出すように移動させていたと考えられ、不意にリフターの端部から転落し、頭部を守る防御姿勢も取れなかったのではないか。

    ●ヘルメット着用が必要

     

     こうした災害を防ぐには、作業場所の高さに関係なく、必ず保護帽(ヘルメット)を着用して荷役作業をするようお願いしたい。あご紐をしっかりと確実に締めることも重要だ。あご紐をしていないと転落時にヘルメットが脱げてしまい、頭部を保護する役割を果たさないからだ。過去にはそういう災害も数多く起きている。

     リフターは、作業時間を短縮できるため、生産性向上の目的で急速に導入が進められている。

     トラック運転者にはこうした危険があることを十分理解してほしい。同時に、適切な災害防止対策を取れば防げることもぜひ知ってほしい。(城田正義)

     

     ※技官レポートは昨年1月にいったん終了しましたが、今後は随時掲載します。労働災害の防止を担当する厚生労働技官は、7年前から新規採用を中止。現在、労働基準監督官が行う形となっています。災害防止の専門性と経験を兼ね備えた技官の採用を再開してほしいという声が行政内外で強まっています。