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    都民裏切り続けた1年余/政治家小池百合子の本質

     「これまで見たことのなかった都政を進めていく」――2016年7月31日、都知事選に圧勝した直後に小池百合子氏が語った言葉だ。

     よもや、あれから1年余りで、国政政党を立ち上げる事態になるとは、思いもよらなかった。しかも都議選(今年7月)直後、「知事に専念する」といって地域政党「都民ファーストの会」の代表を退いたのは小池氏自身である。

     1300万人の都民の生活をあずかる都知事の職責は、こんなに軽く扱われて良いものだろうか。確かに、こんな都政のあり方は「これまで見たことのなかった」ものではある。

     

    ●「食の安全」は未解決

     

     1年前の都知事選で小池氏は大きなブームを巻き起こした。その熱狂は、衆院選の現場ではほとんど感じられない。その大きな要因は、1年間の都政で、都民に発信してきた自身の言葉を裏切り続けてきたからだろう。

     典型的なのが、都政を揺るがした築地市場移転問題だ。

     築地移転をめぐっては「食の安全」を重視する立場を繰り返し表明してきた。一方、豊洲市場予定地では、都が土壌汚染対策の柱としていた盛り土がなかった問題、汚染対策後も地下水から環境基準を超える深刻な汚染が見つかっている問題など、食の安全を脅かす深刻な事態が次々と発覚してきた。そのどれもが本質的な解決を見ていないのに、豊洲移転の方針を着々と進めている。

     

    ●情報公開の約束に逆行

     

     都民の失望を生んだ要因として、政治手法の問題も大きい。

     知事は情報公開を「都政改革の1丁目1番地」と位置付けてきた。この金看板にも、大きな疑問符がついている。

     今年6月、築地移転問題をめぐって「築地は守る、豊洲は生かす」との基本方針を表明した。記者会見でこの方針をどうやって決めたのか問われ、「AI(人工知能)、私が決めた」と表現した。情報公開を請求しても決定過程の文書はなく、これほどの重要決定を、誰がどう決めたのか、まったく記録に残らない異常事態となっている。

     都の職員に多くの読者を持つ専門紙「都政新報」が実施した都職員アンケートでは、小池都政の1年目の評価は、46・6点と石原都政、舛添都政の1年目より低かった。特に、都政の進め方をめぐり、小池知事の印象を「独断専行」としたのは74・9%、都政運営で「都民・職員参加の考え方が強いと思わない」が82・3%に及んでいる。

     小池知事は自民党都連の意思決定をブラックボックスと批判してきたが、いまやそのブラックボックス批判は、小池氏自身に向けられている。

     

    ●右翼政治家の行方は?

     

     小池氏は希望の党立ち上げに当たって、安保法制容認や憲法改定支持を打ち出すなど、都政の場ではほぼ封印してきた右翼政治家としての性格を前面に出している。右翼政治家として国政に乗り出そうとする小池氏に都民の期待が高まるとは思えず、むしろ注目の高さが逆風となり、都民の都政への批判が一気に高まる可能性も高い。

     早くも離党者を出した都民ファーストの会、国政とのねじれを抱える都政与党の公明党の動向など、衆院選の結果がどうあれ、小池都政は今後、大きな激動期を迎えるだろう。(都政ジャーナリスト 大木祐)