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    女性4人へのパワハラ認定/東京高裁でも勝訴/フクダ電子長野販売事件

     医療機器メーカー、フクダ電子の子会社で、長野県松本市にあるフクダ電子長野販売で働いていた女性4人が代表取締役の男性からパワハラを受けたとして損害賠償を求めた裁判で、東京高裁は10月18日、パワハラの事実を認め、一審の2倍以上の賠償額約660万円を支払うよう命じた。

     

    ●直接被害なくても認定

     

     2013年4月に代表取締役に就任した男性は、当時係長だった女性2人について、経理上の不正があったとして賞与を減額し、「辞めてもいいんだぞ」「50代は抵抗勢力」などと社員の前で執拗(しつよう)に非難した。直接被害を受けなかった2人の事務職も「自分たちも同じ目に遭うのは必至」と受け止め、計4人がパワハラを理由に退職。同10月にJMIU(現JMITU)の支部を結成し団体交渉を求めたが、会社側が拒否したため裁判に踏み切った。

     一審は当時係長だった女性にだけ「退職強要」を認め、350万円の支払いを命じていた。東京高裁は4人全員の訴えを認め、慰謝料や、自己都合退職と会社都合退職の退職金差額分などを含めた660万円分の支払いを命じた。

     係長だった女性は「一審と違い、今回は4人全員が認められ本当によかった」と語った。

     裁判では、原告が録音した音声記録と手帳の記録がパワハラ立証の決め手となった。経理上の不正は根拠なしとされた。

     JMITU長野地本の小松崎貫二委員長は「退職届を出してしまってからの闘いだったが、全面的な勝利を勝ち取ることができた。パワハラを行った代表取締役はいまだに謝罪しておらず、原告への謝罪が済むまでは終わらない。会社側は社会的責任を問われるべきだ」と話した。