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    時の問題/「先制攻撃は可能」論の危うさ/総選挙後に具体的検討か

     Q 北朝鮮の核・ミサイル問題で、「先制攻撃を」という議論が出ているね。

     A ミサイルが飛んでくるのが分かっているなら、事前の反撃も自衛の範囲だという考え方だ。今年3月に自民党の「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」が「敵基地反撃(攻撃)能力を保有するべきだ」と提言した。このチームの座長を務めていたのが、現防衛大臣の小野寺五典氏だ。

     Q それじゃ自民党はかなり本気ってこと?

     A 安倍首相は「現時点で具体的な検討の予定はない」と説明しているけど、本音は別。「安全保障環境の現実を踏まえ検討」と将来については否定していない。小野寺防衛相も前のめりだ。選挙で「日本のこころ」が「敵基地攻撃能力」と叫んでいたけど、極右の妄言ではすまない話になっている。

     Q でも、先制攻撃なんて憲法上問題ないの?

     A 大ありだ。憲法9条は武力の行使を放棄し、国の交戦権を認めないと明記している。どう解釈しても憲法違反だ。だけど一番の問題は、敵基地への攻撃が、逆に日本を危険にさらすということだよ。

     Q 北朝鮮のミサイルの破壊は無理ってこと?

     A ミサイル発射台は移動式。山岳地帯に隠され、何発あるのかも分からない。ダミーも用意されているはずだ。潜水艦からの発射実験もしている。これを一瞬で全部破壊しなければ、残った核ミサイルが間違いなく日本に飛んでくる。そんなリスクを冒して、先制攻撃を仕掛けるなんて常軌を逸している。 

     Q まさに「国難」だ! 

     A 相手が核ミサイルを持っていても、撃たせない関係を作れば脅威ではない。中国やロシアとはそうやって付き合ってきた。北朝鮮との関係も頭を冷やして考える時だよ。