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    生活保護世帯でも大学進学を/日弁連が意見書/「貧困の連鎖」断つ必要性強調

     日本弁護士連合会(日弁連)は10月18日、生活保護世帯の子どもの大学進学を認めるべきとする意見書を発表した。「貧困の連鎖」を断ち切るのが目的だ。

     現在の運用では、生活保護世帯の子どもが大学や短大、専修学校に進学することは認められていない。高卒で働くことが前提とされているためだ。

     あえて大学などに進学すると、その子どもは「世帯分離」され、世帯人数が減ることにより保護費(生活扶助費と住宅扶助費)が減額されてしまう。東京都の母子家庭のケースだと、月5万円近い減額に。そのため、大学進学を断念する子どもが多いという。

     大学に進学できないと、職業選択の幅が狭まり、生涯賃金総額にも影響する。日弁連は、貧困の連鎖を断ち切るために「世帯分離」の運用をやめ、進学を認めるよう求めている。

     さらに、仮に進学が認められたとしても、現状では授業料のための奨学金やアルバイト収入が収入認定されて生活保護費が減額される。世帯分離の廃止と併せて、授業料や教科書・参考書代、通勤交通費をはじめ就学に必要な費用は収入認定しない措置も必要と訴えている。

     

    生活保護拡充の署名/裁判原告らが取り組み

     生活保護費を引き下げた国・自治体の施策は違憲だとして裁判で争っている原告や支援者でつくる「いのちのとりで裁判全国アクション」が、生活保護制度の拡充を求めて緊急署名を呼び掛けている。

     署名は(1)社会保障と教育への予算配分を先進ヨーロッパ諸国並みに引き上げること(2)生活保護世帯の子どもの大学などへの進学を認めること(3)母子加算の削減を行わないこと――などを要求。最終集約は来年1月末。