「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    労組は個人事業主化に警戒を/伍賀一道金沢大名誉教授が講演

     伍賀一道金沢大学名誉教授が、10月28日の全労連非正規センターの総会で講演。政府の働き方改革実行計画に盛り込まれた副業、個人事業主化への誘導に警鐘を鳴らした。プラットフォーマーと呼ばれるインターネットを介した仕事の受発注事業について「(仕事の)仲介料や手数料などの規制がなく野放し。労働法が適用されない。労組は警戒すべきだ」と訴えた。

     人工知能(AI)の進歩にも触れた。仕事の総量が減り、受注競争に疲弊すれば、個人事業主は究極の不安定就業になると述べ、「抜本的な労働時間の短縮、ワークシェアリング、最低生活保障について今から検討が求められる」と議論を促した。

     

    ●生活できる賃金を

     

     近年の非正規労働の特徴については「デフレを脱却できない最大の要因は雇用形態の変化による賃金の低下だ。これにメスを入れなければならない」と語った。

     非正規労働者として、シングルマザーや高校生のアルバイトの増加を挙げた。男性高齢者のワーキングプアも顕著と指摘し、「働くのは生活のため。年金だけでは足りず、高齢者に切実な問題だ」と述べた。

     ダブル・トリプルワークの労働時間を通算できる、社会保険加入の制度整備や、職場の非正規率の上限設定の協定化など、現状を改善するには非正規労働のタイプに応じた要求が必要だとし、「共通するのは自立した生活ができる賃金水準にすること」と強調した。