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    営業職男性の解雇は無効/東京地裁が判決/製薬大手アストラゼネカ事件

     製薬大手アストラゼネカ(本社大阪)に勤務していた営業職の山口浩治さん(54)が「懲戒解雇は不当」として職場復帰を求めた裁判で東京地裁は10月27日、懲戒処分を妥当としつつも解雇は無効とする判決を言い渡した。 

     山口さん以外のケースを含め、同社を相手取った六つの事件の一つ。

     医薬情報提供者(MR)と呼ばれる営業職として働いていた山口さんは2015年、不当な減給とパワハラがあったと人事部に申告したところ、逆に「勤務に問題がある」として懲戒解雇された。会社側は、山口さんについて(1)(成績を上げるため)シンポジウムの参加者をめぐり虚偽報告(2)虚偽の訪問記録を報告(3)経費の二重申請――などがあったと主張した。

     同社は退職勧奨を拒否した中高年の社員を中心に、降格や減給、追い出し部屋への配転などを相次いで行っている。山口さんは「パワハラなどの被害を人事に訴えたら報復を受けたという印象だ」と話す。山口さんが加入するアストラゼネカユニオン(東京管理職ユニオン加盟)も「リストラ目的の狙い撃ち解雇だ」と訴えていた。

     東京地裁は「過失は重大で懲戒は免れない」としながらも、故意があったとまでは認定せず、解雇については「社会通念上相当と認めることはできず、懲戒権を乱用したもの」と述べ、解雇を無効とした。会社側は即日控訴した。