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    パワハラ放置は企業の大損失/防止教育の専門家が講演/厚労省主催の過労死シンポ

     過労死・過労自死を防ぐには、長時間労働の是正と併せてパワーハラスメント(パワハラ)対策が欠かせないといわれる。厚生労働省が11月8日、都内で開いた「過労死等防止対策推進シンポジウム」では、パワハラ防止教育を手掛ける岡田康子さん(クオレ・シー・キューブ社代表取締役)が講演。「パワハラを放置すると、企業の大きな損失になる。今の時代に生き残れない」と訴えた。

     岡田さんは、最近のパワハラの特徴として「かつてほど暴力的ではなくなってきたが、陰湿化してきている」と指摘。企業への防止教育や相談対応などを通じて実感するのは「ほとんどの行為者は自分がパワハラをやっていると気付いていないことだ」という。

     自分の言動に気付かせつつ、部下との関係については、こう述べた。

     「『叱らなくては部下は育たない』と考える管理職が多いが、なぜ叱ることにこだわるのか。部下の気付きを促すやり方は、質問や助言、指示などいっぱいある。『おれの言うことを聞いていればいい』『昔からこういうやり方なんだ』では、ものを考えない部下ばかりになる」

     岡田さんは、人工知能(AI)が発達した時代にどう生き残るかについても言及。「言われたことだけをやる人材ならAIに負ける。人間にしかできないことで勝負する人材が求められている」と述べ、それはパワハラや一方的な叱責がまかり通る職場では育たないと強調した。