「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    月額2万円、時給150円以上/春闘共闘委が討論集会/9条改憲と働き方改悪阻止へ

     全労連や純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会は11月22、23の両日、静岡県内で春闘討論集会を開き、月額2万円以上、時間額150円以上――の賃上げ要求を提案した。来年通常国会での発議が狙われる憲法9条改悪と、焦点の働き方改革関連法案について、阻止を訴える社会的アピールを強めていくことなどが強調された。

     小田川義和代表幹事(全労連議長)は、過去最高の内部留保を蓄えながら、課税や、非正規労働者の無期転換逃れを図る、自動車大手など大企業の「強欲さ」に言及。「大企業優遇政策を維持しながら小手先の配分見直しで国民を欺こうとすることへの怒りを共有し、共同の闘いを築く春闘共闘の挑戦。総選挙後の暴走政治が強まろうとする今こそ必要だ」と語った。

     春闘ヤマ場の統一行動にも触れ「戦争できる国に反対し、暮らしを守るために立ち上がることが大変重要だ。(改憲阻止の)3千万署名をツールに、実力行使、集会、デモ、宣伝行動など社会的にアピールする行動を意識的に追求を」と呼び掛けた。

     方針第1次案では、昨年同様の要求額を提案。生計費原則に基づく大幅賃上げ、最低賃金、公契約、公務員賃金など「社会的な賃金闘争」の展開、9条改憲と働き方改悪阻止の課題が柱となる。

     

    ●底上げの社会運動を

     

     討論では、社会的な賃金闘争や雇用確保などで地方の発言が目を引いた。

     「社会運動の対抗軸とする春闘にしたい」。北海道労連は、無期転換キャンペーンを展開中だ。労働相談で明らかになった次回不更新などの無期転換逃れを撤回させるだけでなく、そうした不条理を社会に「可視化」させ、組合加入にもつなげている取り組みを報告した。

     無期転換の推進は方針案でも重視。来年1月には東京で交流集会を開く。橋口紀塩事務局長は「可視化、社会化が求められている。それができるのは労働組合しかない」と、積極的な取り組みを呼び掛けた。

     最賃の課題にも発言が相次いだ。埼労連は、単身世帯で最低でも時給1400円は必要という独自の生計費調査の試算結果を紹介。高度プロフェッショナル制導入阻止と併せて、8時間で人間らしく暮らせる働き方をめざし、早期千円、1500円実現を18春闘の重要な柱にすると述べた。

     静岡県評は神奈川との最賃格差が8年間で約50円広がったと述べ、全国一律制実現に取り組む決意を表明。東京は「早期に1500円」を訴える立場から、方針案を強く支持した。

     生協労連は全国一律を求める署名を組合員の人数分配布して取り組んでいるとし、医労連は、看護師と介護福祉士の特定最賃新設(全国適用)に向けた検討状況を報告した。

     

    ●要求提出にこだわりを

     

     生計費原則に基づく大幅賃上げの課題では、JMITUが「賃上げできる条件はあるが、頑張らなければ実現しない。大幅賃上げなしに景気回復はないという風を吹かせる春闘に」と発言。人間らしい生活を送れているかについて、自身の生活を見つめ直す「暮らしのチェックリスト」も生かしながら要求を練り上げていくとの構えを語った。

     春闘共闘に参加する組合の要求提出は6割程度にとどまるという。橋口事務局長は「職場からの取り組み、要求提出100%にこだわる取り組みを」と呼び掛けた。