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    利害関係者が規制作り/派遣法改正時と同じ構図

     「柔軟な働き方検討会」には、学者や弁護士、先行事例をもつ企業の人事担当者に加えて、人材企業系団体の代表が委員に選ばれている。規制の適用対象となる特定業界の代表が、規制作りに関わるという利益相反の構図が見える。

     ガイドラインは、働き方改革実行計画に基づき、今年度内の改定・策定が既定路線。厚労省によると、法改正を伴わないため労働政策審議会に諮る必要はないという。検討会の議論でルールが決められることになる。

     委員は9人。日本テレワーク学会会長の大学教授が座長を務め、学者、弁護士、企業担当者が選ばれる中、リクルートワークス研究所とクラウドソーシング協会の人材企業系団体から2人が選ばれている。

     20日の労使団体へのヒアリングでは、副業・兼業の促進について労使が慎重意見を述べ、法学者が異論を唱える中、人材ビジネス系の2人は推進論を述べた。副業・兼業で働き手を確保し、新たな商機を期待できる業界ならではの意見だろう。

     在宅ワークについてはガイドライン策定時(2000年)に同様の検討会を開いているが(後の改定、在宅勤務については検討会を開いていない)、当時の委員構成は学識者が中心で、今回のように業界団体の代表はいない。

     2015年の労働者派遣法改正の時にも見られたように、政策決定の過程で、特定の業界団体や企業を優遇する手法は、現政権の特徴でもある。森友・加計問題に象徴される行政のゆがみは、労働行政にとっても他人事ではない。