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    「働き方改革」は現行より後退/上西充子法政大学教授が批判

     全労協などでつくるけんり春闘全国実行委員会主催の学習会が11月27日に都内で開かれ、法政大学キャリアデザイン学部の上西充子教授が「働き方改革」の狙いと課題について基調講演した。

     

    ●不良品抱き合わせ販売

     

     現在検討されている働き方改革一括法案は労基法改正案やパートタイム労働法など、八つの法案が束ねられている。上西教授は「労基法改正だけでも、時間外労働の上限規制と、高プロ制・裁量労働制拡大という残業代ゼロ法案(長時間労働の促進)を同時に入れようとしている。歓迎される内容も権利を阻害する内容もひっくるめて通してしまう、不良品の抱き合わせ販売のようなもの」と批判した。

     

    ●抜け穴だらけ

     

     政府が「前進」としている年100時間未満の残業上限規制についても「果たしてこれまでよりましと言えるのか」と疑問を呈した。

     現在、労働基準監督署は36協定の残業上限違反に対しては厳しく指導しているといわれるが、上西教授は「45時間の上限で実際60時間働かせていた場合は是正できるが、最初から過労死ラインの80時間を上限にしてしまえば是正勧告はできなくなる」と問題視。「過労死の労災認定にも悪影響が出る可能性がある。実際は過重労働をなくすという法の理念と逆のことが起きる」と述べた。

     

    ●労働者の願いに逆行

     

     働き方改革の一環として進められている「多様な就業形態の普及」についても、労働法の対象外の個人請負が進むと指摘。過重労働やトラブル回避の対策が不十分なままガイドラインづくりが始まっていることも批判した。

     上西教授は「政府はなにかと希望を語っているが、長時間労働を8時間労働に近付け、非正規を正規にするという労働者の要求と安倍政権の働き方改革は向かっている方向が違う。現行制度よりも後退だと訴えていく必要がある」と呼び掛けた。