「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    「底上げ・底支え」さらに強化/連合中央委で春闘方針決定/連合フォーラム(仮称)設立へ

     連合は12月5日、都内で中央委員会を開き、2018春季生活闘争方針を決めた。ベア2%程度基準(定昇相当分込みで4%)を掲げ、「底上げ・底支え、格差是正に継続して取り組み、さらに強め、広げる」(神津里季生会長)という構えだ。年明け早々には組織内国会議員や推薦議員を集めて「連合フォーラム(仮称)」を設立するとの表明もあった。

     神津会長は、中小労組が独自に賃上げできる環境整備をさらに強め、「『賃金は上がるもの』との常識を取り戻していくことが重要だ」と指摘。不適正な取引慣行を改め、中小企業の賃上げ原資を確保する「付加価値の適正分配」を進める社会運動についても、「社会的認知から公正さの実践・実行のフェーズ(段階)に移行していく必要がある」と語った。

     今回の方針では、非正規労働者の処遇改善を「個別労使、産業労使の交渉のど真ん中におく」との考えから、非正規共闘の枠組みを解消した。神津会長は「これまで非正規共闘が果たしてきた役割を個々の労使協議に埋め込み、必ず結果につなげ、社会に発信することで非正規労働者の処遇改善の実効性を高めていかなければならない」と取り組みの強化を呼び掛けた。

     方針をめぐっては、JAM、全労金から、賃金水準や妥結額などのデータの共有の強化を求める要望が出され、全国ユニオンからは、非正規労働者の処遇改善について社会への発信強化と、高度プロフェッショナル制度導入阻止のキャンペーン展開を求める意見が出された。

     第一先行組合の春闘回答ゾーンは3月12~16日。最大のヤマ場は同14日(水)となる。

     

    ●「漁夫の利回避を」

     

     神津会長は「政党に縛られない新たな枠組みとして、来年早々に『連合フォーラム(仮称)』を設立したい」と表明した。政策論議のための受け皿とし、民進党時代の人的ネットワークを維持し、今後の政策制度要求実現に生かすという。民進、立憲民主、希望、自由、社民など衆院で99人の推薦議員、参院で46人が対象となる。

     同会長は、先の衆院選で、立憲民主と希望の得票数の合計が自民党を上回ったものの、党が割れたことで自民党の大勝を許したことに遺憾を表明。民進系の3党について、「先の総選挙のような漁夫の利を与党に与えることを回避する責任が3党にはある」と付け加えた。

     中央委後には、民進党の前原誠司前代表のブレーンを務めてきた井手英策慶應義塾大学教授が講演した。年収400万円未満が半数近くに増え、「誰もが将来への不安におびえる社会」となった今、医療や教育、介護の自己負担を減らす生活保障が必要だと指摘。消費税の増税など負担を分かち合うことで、これらを賄うことは財政的に可能だと力説した。