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    「組合結成で職場を変えよう」/連合がシンポ/非正規労働センター10周年

     連合は12月7日、非正規労働センター設置10周年を記念するシンポジウムを都内で開催した。パネル討論では相談を通じた組合結成の事例などが紹介された。同センターは非正規労働者の実態把握やネットワークづくりを目指して取り組んできた。

     連合神奈川の顧問弁護士を務める嶋崎量氏が記念講演をした。「職場でトラブルを抱える相談者から『職場を変えたい』と言われた。職場を変える力があるのは弁護士ではなく労働組合。労働組合の認知度が上がれば、弁護士に相談せずに直接加入するのではないか」と労組の主体的な情報発信を促した。

     法律家の立場から非正規労働者の処遇改善の取り組みとして(1)有期雇用労働者の無期転換ルールの適正運用(労働契約法18条)(2)派遣先の過半数労働組合の意見聴取(派遣法40条の2第3、4項)を活用した雇用安定措置と均衡待遇(3)ワークルール教育推進法案制定の機運を背景にした教育実践――を提起した。

     

    ●組合つくり処遇改善

     

     パネル討論では労働相談や集会参加から組合結成に至った事例の当事者が登壇し、自らの経験を報告した。

     JA西三河労働組合の山田覚さんは2015年、ネットで連合愛知を知り、組合結成を相談。当時の職場は、退職や内定辞退が多く、職場環境に対する不満が高まっていたという。組合結成が察知されないように、近隣県の農団労に相談しながら準備を進めた。

     山田さんは「一番の成果は残業代が2倍以上も払われるようになったこと。残業を申請しやすくなり、サービス残業が減った」と職場の変化を語った。愛知県内のJAの仲間を増やしたいと意欲的だ。

     

    ●「あなたたちは任用」

     

     業務量の増加や、正規と同じ仕事に疑問を覚えた高松市立保育所の非常勤職員が2007年、自治労のサポートを受けて組合を結成した。委員長の松田典恵さんは「団交で高松市の人事課に『僕たちは公務員試験を受けて正規になった。あなたたちは違うから』と言われたのが悔しかった」と結成当時を振り返る。

     保育職場はインフルエンザの患者が出るとうつりやすく、罹患すると無給で1週間休まなければならなかった。松田さんは「有給の病気休暇10日を勝ち取ると、これが力になって組合員が増えた」という。成果が組織拡大と連動することを実感した。

     非常勤職員が急増する中、図書館司書から「組合に入ったら4年の雇用年限をなくすことができますか」と相談された。そこで組合は他職場の人も加入できるよう、名称を自治労高松市非常勤職員労働組合に変更。交渉の結果、4年の雇用年限後は1年ごとの更新になった。実質上の撤廃だ。

     松田さんは改正地方公務員法が規定する会計年度任用職員に触れ、「フルタイムには期末手当が必ず出るが、短時間職員には『出すことが可能』となっている。施行は止められないが、自治体で働く人たちと声を合わせ、少しでも良い方向に進むよう働き掛けたい」と述べた。