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    3500円・3500円以上/基幹労連の2年サイクル運動/単年度要求も認める方針

     鉄鋼、造船重機、非鉄金属の労組でつくる基幹労連は12月6日、群馬県内で春闘方針について話し合う集会を開き、2年分の賃金改善要求として「2018年度は3500円、19年度3500円以上」を基本とする考え方を提案した。神田健一委員長は「全ての働く者の活力発揮、先を見据えての優秀な人材の確保、そして、(賃上げと産業活性化の)内なる好循環を社会にもつなげる必要があると判断し、賃金改善を要求していく」と語った。

     基幹労連は、産別全体で2年分の賃上げを要求する基本年度と、一時金や格差是正を行う個別年度を交互に行う2年サイクルの運動を特徴としている。18闘争は基本年度に当たる。

     14、15闘争では、物価上昇と要求時期がうまくかみ合わず、他産別と比べ賃上げの波に乗り切れなかった(表)。そのため、経済環境や業績の変化に対応しようと、今夏の大会では産業労働政策中期ビジョンを改め、2年サイクルを堅持するとしつつ「時々の環境や産業・企業の状況を踏まえ、部門や部会でまとまりをもって取り組む」との変更を加えた。

     これらを踏まえ、基幹労連の要求額としては、18年度は3500円とし、19年度は3500円に「以上」を付ける表記とする。19年度の要求額の判断が難しい部門(造船重機など大ぐくりの業種で構成)については単年度の要求を認める方針だ。景気は緩やかな回復基調にあり、業績はおおむね増収増益と好調で、18年度は物価上昇が見込まれることなどから、「みんなで一つの船に乗るために総合的に判断した数字」(担当者)と説明する。

     神田委員長は大手労組による関連グループ労組への支援など業界全体の底上げが必要だと述べ、「難しい取り組みではあるが、産業・企業の発展という観点からも重要課題だ」と強調。討論では「ハードルは高いが、人への投資という観点で取り組みたい」「法人税減税の検討状況をしっかり把握しベースアップにつながるよう対応を」など、提起を受けとめる発言が続いた。

     18闘争では「65歳現役社会」に向けた労働環境の構築も重視する。特に年金支給開始年齢が65歳となる2021年度を見据え、経営側に環境整備を求める。具体的には65歳への定年延長を視野に、新たな制度の導入や労使検討の場の設置、制度改善などを求めるとしている。

     方針は年明けの中央委員会で決定する。