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    「核兵器廃絶に背を向けるな」/ICAN代表が日本政府を批判/ノーベル平和賞授賞式から帰国

     「何よりも深刻なのは、核兵器禁止条約に日本政府が署名も批准もしないと言っていること。そして、それが何ら問題視されていないこと」――ノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の国際運営委員を務める川崎哲氏や、日本原水爆被害者団体協議会の代表が12月15日、都内で会見。核兵器廃絶に背を向ける政府への強い憤りを表明した。

     授賞式は同10日にノルウェーのオスロで開かれ、被爆者のサーロー節子さん(カナダ在住)とICANのベアトリス・フィン事務局長が核兵器の非人道性とその廃絶を強く訴えた。会見は、授賞式の報告会として開催された。

     川崎氏は、7月に国連で採択された核兵器禁止条約への署名と批准を各国に広げていくことを今後の課題にあげる一方で、条約不参加を表明する日本政府について「唯一の戦争被爆国でありながら許し難い。国会でのまともな議論もない」と批判。政府の姿勢を変えるために、国民自らが議論し、行動していこうと訴えた。

     被団協の田中煕巳代表委員は「ノーベル賞は受賞したが、核兵器廃絶の前にはまだ大きな岩がそびえている」と指摘。条約を早期発効させ、核保有国とその同盟国にも条約加盟を促していくため「私たち被爆者は高齢になったが、命の続く限り、世界の人々に核兵器がいかに残虐で非人道的な兵器であるかを伝えていきたい」と決意を語った。