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    「日中戦争から平和憲法へ」/「週刊金曜日」24周年記念シンポ

     雑誌「週刊金曜日」の創刊24周年を記念するシンポジウムが12月17日、都内で開かれた。同誌は、第2次世界大戦における日本の加害行為を報道テーマの一つにしており、シンポのテーマは「日中戦争から平和憲法へ」。開戦80年を迎える日中戦争の歴史を踏まえつつ、安倍政権の進める「戦争ができる国づくり」について歴史学者や映画監督、ジャーナリストが講演した。要旨を紹介する。

     

    ●戦争前夜になるのか/笠原十九司さん(都留文科大学名誉教授)

     

     戦争には必ず「前史」がある。1945年に終結するアジア・太平洋戦争の場合、1874年の台湾出兵から始まる。その後、中国東北部に満州国を建国、日本人を移住させた。これは「邦人保護」の名目で自衛隊に『駆けつけ警護』の新任務を付与した安倍首相の姿勢と重なる。共謀罪は治安維持法に当たるものといえるし、戦争への「前史」はすでに書かれている。(改憲発議予定の)来年1年が戦争「前夜」になるかもしれない。

     

    ●韓国で懲兵拒否/雨宮処凛さん(ジャーナリスト)

     

     徴兵制がある韓国で徴兵拒否し、フランスなどに亡命した若者と交流している。旧日本軍を参考に韓国の軍隊は運営されている。閉鎖的な環境で自殺や暴力事件などが多く、胸が痛い。一方で、60年代のベトナム戦争時に米軍の脱走兵を日本の反戦運動が亡命させた歴史があり、そのことが今の韓国の若者に情報共有されているという事実もある。

     

    ●「個」を主張しよう/森達也さん(映画監督)

     

     日本人は原爆投下の日や敗戦の日だけではなく「なぜ戦争が始まったか」を普段から考えないといけない。戦争の加害者は「普通の人」。それが集団化することで思考停止し、殺人を犯す。大衆もそれを支持する。日本人は突出して「個」が弱い。最近、内閣支持率が頻繁に発表されるのは象徴的。皆、周囲が気になるのだ。多数派から外れることを恐れる傾向が加速している。しかし、さまつなことでも、おかしいことには声を上げよう。同調圧力にあらがおう。