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    とにかく労働法制を変えたい?/労政審基本部会/一部委員が執拗に持論主張

     働き方に関する中長期的な課題などを検討するとして、昨年7月に設置された労働政策審議会労働政策基本部会。現在、人工知能(AI)などの技術革新が労働にどんな影響を与えるかについて議論している。昨年12月25日に開かれた第4回会合まで、一部の委員が「とにかく労働基準法を変えるべき」という趣旨の発言を繰り返している。

     第4回会合のヒアリングでは、独立行政法人労働政策研究・研修機構の山本陽大研究員が、「第4次産業革命」の名のもとに技術革新が進むドイツの現状について報告。産業別組合などが関わる集団的労使関係によって、権利が守られにくい個人事業主の保護が実践されていることなどについて解説した。

     佐々木かをり委員(イー・ウーマン代表取締役社長)はドイツの技術革新を評価した上で、日本がドイツに遅れを取っているのは日本の労働法制に原因があるからではないかと質問。「(技術革新に対応するには)労働基準法を変えるか、新たに『労働基準法B』というものを考えていくべきではないか」と切り出した。

     山川亜希子委員(弁護士、フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー法律事務所)も「日本型雇用のゆがみが大きくなっている」と、佐々木委員に賛同する形で発言し、現行労働法制に問題があると訴えた。

     両氏の主張に対し、岩村正彦委員(東京大学法学部教授)は「ドイツと日本では労働事情のあり方が違い、ドイツ特有の労働法制やキャリア教育を前提にして改革をしている」と指摘。そうした実践からどう学ぶかが大事だとし、性急で一面的な議論に苦言を呈した。