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    原発被害に向き合っているのか?/海外記者らが日本に疑義

     「トルコでは、原発はクリーンで再生可能なエネルギーというプロパガンダが繰り広げられている」――原発導入が進む海外からジャーナリストや運動家を招いたシンポジウムが1月23日、都内で開かれた。福島での原発事故の実態を各国にどう広げていくのかについて意見を交わした。

     主催は、原発事故の教訓を市民の立場から発信している「福島ブックレット委員会」。5カ国から7人を招待し、3日間にわたり福島の被災地訪問も行った。

     シンポでは、インドのアミルタラージ・ステファン氏が福島での放射線教育に触れ「情報操作を感じた。復興が前面に押し出され、被害に正面から向き合っていない」と指摘。台湾のリー・イェンチェン氏は「意思決定プロセスに市民が参加していないように思えた」と復興のあり方に疑問を投げかけた。

     トルコのプナール・デミルジャン氏は「3基の原発建設が進んでいて、そのうちの1基が日本製。安全神話が振りまかれている」と報告。福島の視察を踏まえ「戦争で爆弾が原発に落とされれば、浪江町のように人が住めなくなってしまう」と不安を表明した。

     福島の教訓を伝えていく方法については「インドでは、原発反対は(経済)開発への妨害になるという宣伝が強まっている。SNSなどを使い情報配信を強めていく必要がある。特にジャーナリズムを学ぶ若者をターゲットにしたい」(ステファン氏)などの意見が出された。