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    無期転換権発生を阻止?/メルスモン製薬の女性/雇い止めで労働審判申し立て

     メルスモン製薬株式会社(本社東京)で働く島津葉子さん(50)が1月29日、雇い止めは事実上の解雇だとして撤回とバックペイ(解雇日以降の賃金)を求めて東京地方裁判所に労働審判を申し立てた。島津さんが加入する全国一般東京東部労働組合は「無期転換権の発生回避が会社の狙い」とみている。

     島津さんは2003年に契約社員として入社し、営業所で売上管理などに従事してきた。フルタイム勤務で、業務はかつて正社員が担っていた内容だ。家計の足しにと始めた仕事だが、やりがいを覚え、もっと会社に貢献したいと考えるようになった。私生活では離婚を経験し、シングルマザーとして2人の子どもを育てた。

     14年間で19回の契約更新を繰り返した後、昨年7月に「仕事の範囲がより高度となる」という理由で突然、雇い止めを通告された。

     埼玉労働局による助言では雇い止め問題のらちが明かず、組合に加入したが、団体交渉でも会社の姿勢は変わらなかった。団交で会社側の代理人は「早い話が少し若手を取りたい」と年齢差別的な発言をしたという。

     島津さんは同日の会見で「私は今まで通りに働きたいだけです。誰でも年を取るし、14年も働けば50歳になる。会社に激しい怒りを感じています。組合の仲間、団結の力を信じています」と語った。

     代理人の河村健夫弁護士は「(19回もの更新により)無期(雇用)と同視できる、期待権のある労働者。(仕事が高度になるといっても)スキルを上げる研修は実施されておらず、解雇理由は抽象的」と指摘。「真の理由は『2018年問題』の無期転換防止だろう。労働審判で会社に再考を促し、復職させたい」と述べた。