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    トップは「最低報酬額の保障」/連合と連合総研の共同調査研究/個人請負就業者らの要求

     政府が個人請負など「雇用関係によらない働き方」や「あいまいな雇用関係」を推奨している下で、当事者の実態や要求を把握して法的保護のあり方を考えようと、連合と連合総研が行った調査の結果がこのほど発表された。最低賃金法などの労働法が適用されない状況を反映して、要求のトップは「最低報酬額の保障」だった。

     

    ●労働者性高い就業者も

     

     調査は昨年5月、インターネットを通じて実施した。請負就業者約2300人とクラウドワーカー約620人が回答。調査結果は「働き方の多様化と法的保護のあり方――個人請負就業者とクラウドワーカーの就業実態調査」としてまとめられた。

     請負就業者は、個人請負契約や業務委託契約など雇用契約以外の形式で契約して、有償で労務を提供する者と定義。一方、クラウドワーカーは、インターネット上のマッチングサイト(プラットフォーム)を通じて仕事を受注・納品する個人の就業者を指す。

     1年間の受託収入総額は請負就業者の場合、平均328万円で、200万円未満が32%だった。クラウドワーカーは平均98万円で、200万円未満が79%を占めている。

     保護措置を考える際、労働法の適用対象かどうかという労働者性の度合いが問題となる。厚労省が示す指標に基づいて検討すると、請負労働者の35%は「労働者性が高い」という結果に。クラウドワーカーに関しては「本調査では確定的なことは言えず、一定程度『労働者性』を有する者がいそうだという示唆は得た」という。

     労働組合への加入・加入意思を尋ねたところ、請負就業者は16%だったが、クラウドワーカーは39%で大きな差がついた。研究会の主査を務めた浜村彰法政大学教授は「請負労働者はもともと独立志向が強い。一方、今回の調査に回答したクラウドワーカーはスキルの低い人たちが多いと見られ、(労組など)団体への志向が強いのではないか」と分析する。

     

    ●7項目を提言

     

     同研究会は調査結果を踏まえて7項目の提言を発表した。(1)労基法上の労働者性の判断基準見直し(緩和)(2)労組法上の労働者概念の拡大(3)非雇用就業者の最低報酬額規制(4)スキルアップの支援と公正な評価の確保(5)クラウドソーシング事業者による紛争解決――などである。