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    インタビュー/介護離職させないケアプランを・上/社会福祉士 末永睦子さん

      家族が要介護になると誰もが「自宅介護か、施設か」で悩み、「仕事もあるし在宅は無理」と施設を選択する人が少なくありません。でも「自分が要介護になったら…」と考えてみてください。

      一番大切にするべきなのは、介護を受ける本人の気持ち。「可能ならば」ではなく、「本人が望む限り自宅で」を実現しなければいけません。それを支えるのが福祉専門職の仕事です。

      在宅介護となると、「介護離職」が頭をよぎるかもしれません。実際、介護保険法の枠内で使える介護サービスは最大月約36万円。この金額内の介護では、家族が相当頑張らないと適切な介護ができないケースが多いのです。とはいっても、保険外サービスに月何十万円も払える人はそうはいません。やはり介護離職しかないのでしょうか?

      私は障害者総合支援法に基づく障害者福祉の居宅介護を併用することで、対応しています。家族介護を前提とせずに、「家に帰りたい」という高齢者に自宅に戻っていただくのです。中には認知症があり、人工透析を受けている要介護5の独り暮らしの方もいましたが、本人の意思としっかりしたケアプランに基づくチームさえあれば、在宅で生活できます。

      介護保険制度はたくさんの問題を抱えていて、さらに悪い方向に変えられようとしています。制度改正の取り組みと並行して、当面今ある社会福祉制度を総動員して、家族が犠牲になることなく、ましてや介護離職などせずに高齢者を支えていければと思います。(明星大学 非常勤講師)