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    日本は本気で再生エネ普及を/市民団体などがシンポ/大手電力会社の姿勢を批判

     「企業の再エネ選択と電力会社」と題するシンポジウムが2月8日、都内で開かれた。パネリストからは再生エネルギー普及を阻んでいる日本の電力会社の姿勢に批判が相次いだ。主催は、再生エネ推進の市民団体などでつくる「パワーシフト・キャンペーン」。

     

    ●切り替え進む世界

     

     世界的には2010年以降、再生エネルギーの普及が進んだが、日本は例外だという。

     環境エネルギー政策研究所の古屋将太氏は、自社や下請け・関連企業の全電力を再生エネに転換しようと活動している団体「RE100」(グーグルなど122社が参加)を紹介。国内企業の参加が3社にとどまっていると指摘した。

     一般家庭の電力切り替えも進んでいない。バイオマス発電などの取り次ぎを行う「グリーンピープルズパワー」の竹村英明氏は、切り替えを阻む「壁」として大手電力会社の姿勢を挙げ、こう述べた。

     「再生エネを手掛ける会社は大手の送配電網を使用し、契約者に電気を供給する。その容量は限定され、接続負担金が課される。原発事故後の石炭火力発電所建設にも問題がある」

     太陽光などの市民電力を供給する「みんな電力」の真野秀太氏は「消費者の『再生エネを使いたい』という声を高めれば、大手電力会社の姿勢を変えられる」と訴えた。

     埼玉県の学校法人「自由の森学園」の鬼沢真之理事長は、福島原発事故後に東京電力から「みんな電力」へ契約を切り替えたという。「日々の生活を支えるエネルギーが中東の紛争を引き起こし、福島に原発事故をもたらしたことを忘れてはいけない。(再生エネ利用で)生徒にそうした問題を教えるのは、教育上ふさわしいことだ」と話した。