「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    老後に備える 遺産相続(2)/遺言書で預金相続が楽に

     本人死亡が分かると即凍結される銀行預金。遺産分割協議で相続人が決まったとしても、相続人が凍結を解除し、預金を引き出すには高いハードルが待ち構えています。90代の母親の定期預金を相続した埼玉県のAさんは、このハードルを越えるのにヘトヘトに疲れたと話します。

     「たいした預金額でもないのに、母の出生から亡くなるまでの戸籍謄本を求められた。生まれた県と村の名前は知っていたが、市町村合併をしていて現在は地名が違う。どこに謄本の請求をすればいいのかが分からず、該当者なしという返事を何度ももらった」

     


     相続した預金を引き出す手続きにはこの他、相続人全員の印鑑証明や実印、戸籍謄本など大量の書類や証明書が求められます。相続の分割協議でもめた場合は、他の相続人からの協力を得るのに嫌な思いを覚悟しなければなりません。

      こうした面倒を避ける方法が遺言書です。遺言書に「××銀行××支店口座番号〇〇〇〇の普通預金を●●に相続させる」と明記されている場合は、印鑑証明なども預金相続者の本人分だけで大丈夫。戸籍謄本も死亡が確認できる一通で済みます。

     「遺言書はまだ早い」と思わず、自分が生まれてから現在までの住所を記録しておくなど万が一に備えることで、遺族の苦労が大幅に軽減されるはずです。