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    韓国の最賃運動に学ぶ/郵政ユニオン非正規のつどい

     郵政産業労働者ユニオンは3月4日、韓国の最低賃金運動をテーマに学習会を開き、全国から70人が参加した。郵政職場で働く非正規労働者にとって最賃は時給と連動するため、生活に直結する問題だ。2020年までに最賃1万ウォン(約千円)実現を政権が掲げる韓国の最賃事情を安周永(アン・ジュヨン)・常葉大学准教授が解説した。

     韓国の最賃は、公益労使各9人で構成する委員会で労使双方が原案を提出し、複数回の修正を重ね、最終審議で労使それぞれが出した案のどちらかに投票し、決定する仕組みだ。労働者側は韓国労働組合総連盟と全国民主労働組合総連盟の二つのナショナルセンターから選出する。両組織は2015年、シンクタンクの韓国非正規労働センターと青年ユニオンから委員を推薦した。「組合に加入できず、労働運動から排除されていた非正規労働の関係者が政策決定にかかわったことは大きな転換」という。

     委員会の外でも運動を広げようと02年、社会運動団体や政党とともに「最低賃金連帯」を結成。大統領選挙では最賃政策を争点化させた。組合は昨年6月、約70団体と共同で最賃1万ウォンなどを掲げた「社会的全面ストライキ」を行い、約10万人が参加した。「『組合は労働者全体の代表』という意識が『最賃連帯』の結成や大規模なストにつながった。運動の目的が社会全体で共有されると支持が集まる」と指摘する。

     安氏は「最賃は1987年の民主化運動によって、医療保険拡大などとともに導入された、いわば国民要求からの社会政策。他の団体と提携し、一緒に主張することで最賃の重みが変わる」と述べた。