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    「死ぬまで働け」法案断念を/働き方改革で自由法曹団/労政審の下請け機関化を批判

     自由法曹団は3月23日、国会内で「『働き方改革』一括法案の提出断念を要求する緊急院内集会」を開き、高度プロフェッショナル制度(高プロ制)導入を含む働き方改革関連法案の問題点について意見書を発表した。加藤健次幹事長は、高プロ制などが法案に盛り込まれた背景に関して「安倍政権による労働政策審議会の下請け機関化が背景にある」と批判した。

     

    ●働く者の声聞かず

     

     意見書は高プロ制導入と裁量労働制の対象範囲拡大を盛り込んだ法案の作成過程を問題視している。

     (1)「労働法制をはじめとする岩盤規制にドリルで穴を開ける」ことを方針として掲げた安倍政権のもと、労働規制の見直しが労働者代表のいない状態で議論され閣議決定された(2)「高プロ制や裁量労働制拡大は長時間労働を助長する懸念がある」とした労政審労働者委員の異議を考慮せず、法案をとりまとめた――などの点を批判。その上で「内閣で基本的な枠組みを決定し、労政審に追認させる方法を取っており、労政審を下請け機関にするようなやり方は到底容認できない」としている。

     

    ●残業上限規制も問題視

     

     今村幸次郎弁護士は高プロ制について「裁量労働制より過酷な中身」と強調し、こう述べた。「柔軟に働けると思われがちだが、裁量労働制とは違って使用者が好きなときに業務をさせることができ、『24時間死ぬまで働け』という働き方も原理上可能になる」

     残業の上限規制についても「月100時間という水準では許容できない。過労死を防ぐというなら、上限45時間以内がどうしても必要だ」と指摘した。