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    Q&A/長時間労働を助長する恐れ/働き方改革関連法案

     Q 働き方改革関連法案が国会に提出されたね。

     A 安倍政権は今国会の目玉法案と位置付けていた。長時間労働対策や非正規労働者への格差是正など、労働者にプラスになるような説明をしていたが、実際は違うことがだんだんはっきりしてきた。

     Q どういうこと?

     A 長時間労働を是正するといいながら、高度プロフェッショナル制度(高プロ制)を創設しようとしている。これは一定の条件を満たす労働者について、8時間労働制などの労働時間規制を外すもの。2007年に第1次安倍政権が導入を図ったが、「残業ゼロ制度」「過労死促進法」と批判され、断念した経緯がある。つまり、長時間労働の是正ではなく、逆に助長する恐れがある。

     

    ●当事者の声を聞け

     

     Q でも、対象者は一部の「高度」な仕事をしている人だけなんでしょ?

     A 年収1075万円以上と報道されているが、経団連はかつて「年収400万円以上にしてほしい」と表明していた。小さく産んで大きく育てる作戦だ。一般のサラリーマンの多くが対象になりかねない。

     Q 初めて残業に上限時間を設けると聞いたけど。

     A 上限時間の設定は、長時間労働を是正する上で必要だ。ただし、その水準が問題。1カ月100時間未満や2~6カ月平均80時間未満まで認めるという内容であり、過労死認定基準と同じレベル。これでは実効性は薄い。「ここまで残業させてもいいよ」と企業に誤ったメッセージを与えることになる。

     Q どうすればいい?

     A 長時間労働の是正には何が必要かを真面目に議論してほしい。高プロ制と今回の上限規制がいいのかどうか。労働者や過労死遺族の声を聞くべきだ。