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    長時間労働対策に1年変形制?/教員の働き方で自民党案/民間のシンポで批判相次ぐ

     有識者や過労死遺族らでつくる「教職員の働き方改革推進プロジェクト」は6月1日、都内で教職員の長時間労働是正を目指すシンポジウムを開いた。連合、全国過労死を考える家族の会、文部科学省、厚生労働省などが後援。自民党が長時間労働対策として1年単位の変形労働制導入を検討していることが紹介され、パネリストから批判が相次いだ。

     自民党の「次世代の学校指導体制実現部会」の中間まとめを馳浩元文科相が紹介した。柱は(1)ガイドラインによる勤務時間管理の徹底(2)主幹教諭や部活動指導員の配置による学校組織体制の整備(3)1年単位の変形労働時間制導入――の3点だ。

     変形労働時間制について内田良名古屋大学教授は「そもそも実労働時間が定時で収まっていない。(繁忙期と閑散期がある職場が対象なのに)長期休暇の閑散期でも忙しく、導入は不可能な状態」と批判した。

     司会の樋口修資明星大学教授は「変形労働時間制は時間外手当を払わないという使用者の論理が働き、不払いの実態を容認する。長時間労働そのものを圧縮する制度設計が必要」と強調した。

     指摘を受けて馳氏は、変形労働時間制は指導員配置などの改善策との合わせ技だと述べ、授業数は1週18コマを目途にするという持論を主張し、予算獲得のための世論喚起を呼び掛けた。

     

    〈用語解説〉1年単位の変形労働時間制

     

     労基法上の労働時間規制を、1年間の週当たりの平均労働時間で計算する。過半数労働組合、もしくは労働者代表との労使協定の締結が必要。原則として1日10時間、1週52時間の労働時間の上限など制約がある。

     

    ●給特法改正が必要/公務災害認定にも支援

     

     「教職員の働き方改革推進プロジェクト」のシンポでは、特定の業務以外は自主的活動とみなす「給特法」の改正が訴えられた。長時間労働の温床と問題視されているもので、公立高校教員の西村祐二氏は給特法によって教員の勤務時間管理が緩くなったのではないかと指摘。出勤時間を所定の勤務開始時間に固定入力するよう上司から強要された経験を語った。

     名古屋大学の内田良教授は「給特法の改正が必須。まずもって先生たちの労働を労働とみなすことだ」と主張。給特法の下で時間外労働が労働と認められないことから、公務災害の認定に当たり、時間外労働の長さが考慮されにくい実情を指摘した。