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    5人中4人が否定的見解/高プロ制/参院厚労委員会で参考人質疑

     参議院厚生労働委員会で6月12日、働き方改革関連法案の参考人質疑が行われ、高度プロフェッショナル制度(高プロ制)について5人のうち4人が否定的な意見を述べた。

     

    ●過労死遺族らは反対

     

     連合の逢見直人会長代行は「本当に高度なプロフェッショナルという人は日本に一握りしかいない」と前置きし、「ほとんどの労働者は上司の命令に従わざるを得ない。対象が高度な専門職だとしても高プロ制の創設は実施すべきではない」と述べた。成果で評価するという政府の説明に対しては「現行の労基法でも対応可能」と指摘。「残業代が払われなくなるというのが高プロ制の問題であり、使用者側に極めて都合の良い制度だ」と批判した。

     全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表世話人は「スーパー裁量労働制といわれる高プロ制は(法案から)削除すべき。過労死を増やす危険を払拭(ふっしょく)できない」と反対を表明。「高プロ制の適用になれば労働時間管理がされなくなり、労災認定も難しくなる。過労死の賠償もされず、泣き寝入りする家族が増えるのが目に見えている」と述べた。

     日本労働弁護団の棗一郎幹事長は「高プロ制について安倍首相は勤務時間に自由裁量があるような説明をしているが、法案に明記されておらず、実効性がない。高度な専門職は仕事ができるので、次々に仕事を頼まれて業務量は絶対に増える」と反論。「高プロ制の対象で交渉力があるとされるアナリストなどの職種でも解雇や雇い止めが行われているのが現場の実状だ」と述べ、業務命令を拒否できないとの見方を示した。

     

    ●導入したい企業はない

     

     企業に働き方の見直しを提案するコンサルタント会社「ワーク・ライフバランス」の小室淑恵社長は、「1日8時間労働一本勝負という働き方にするべき」「長時間労働によって企業は人材を逃す」と指摘。高プロ制については「導入するのであれば企業には相当のマネジメント力が問われる。運用は難しい。私たちがコンサルティングしている企業で高プロ制を欲しいというところはない」と否定的な見解を示した。

     唯一賛成した経団連労働法制本部の布山祐子上席主幹は「創造性を十分に発揮できる柔軟な働き方の選択肢を増やす」と評価した。