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    ランク別の廃止、全国一律制を/全労連が一日行動

     地域別最低賃金の改定審議開始に合わせ、全労連は6月29日、引き上げ目安の(A~Dの)ランク別制度の廃止と、全国一律制の確立を求める行動を終日展開した。C、Dランク県の代表が上京し、大幅引き上げと地域間格差解消を求めた。公正取引委員会への初の要請も実現した。

     炎天の下、JR新橋駅前で街頭宣伝を実施。秋田県労連の越後屋建一事務局長は、秋田市で人間らしい生活をするために最低限必要な生計費の調査を行ったところ、「25歳単身男性で月額21~22万円、時間額1300円は必要との結果が示された」と報告。水準の抜本的改善と、東京と比べて220円も低い時給格差の解消を訴えた。

     山形県労連の佐藤完治事務局長は、山形県が地域間格差の是正策として「ランク制度を廃止し、全国一律の適用」を政府に提案することを検討していると紹介。四国ブロックの男性は「四国から若者がどんどん減っている。最賃を引き上げ地元で暮らせるようにしてほしい」と語った。

     

    ●最賃が公正競争を阻害

     

     同日、全労連としては初めて公正取引委員会への要請が実現した。

     縫製業界で最賃引き上げに見合う工賃の引き上げが行われず、下請け企業が最賃に見合う賃上げ原資を確保できない実情や、アニメ業界での個人事業主契約の横行と低報酬の問題などで意見交換した。公取委の担当者からは「ぜひ労働組合が実例を報告してほしい」と積極的な情報提供を求められたと、斉藤寛生常任常幹は話す。

     最大で221円にも及ぶ最賃の地域間格差についても話題に上り、公取委担当者からは「公正取引の阻害要因となりうるかもしれない」との見解が示されたという。