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    パワハラによる自殺と認定/大阪地裁で原告勝訴判決/理学療法士専門学校の実習生

     「夫・大野輝民(当時39歳)が2013年11月に自殺した原因は実習先のハラスメントと過度な学習の押し付けにある」と、妻・佳奈子さんが実習先の辻クリニック(大阪市)と、大野さんを派遣した近畿リハビリテーション学院(大阪府摂津市)を運営する、それぞれの医療法人を訴えた損害賠償請求訴訟で、大阪地裁は6月28日、「被告らは連帯して6125万円と年5分の割合の金員を支払え」と、原告の請求を満額認める異例の判決を下した。

     理学療法士を養成する同学院では08年にも学生が実習先のパワハラで自殺している。今回自殺した大野さんを追いつめた実習指導者が、08年に自殺した実習生の同級生だったことからも、「実習先でのパワハラによる自殺を(両被告は)予見できた」と認定した。

     判決は、大野さんの学習時間が実習先と自宅の合計で週45時間を超えていたことを、厚生労働省指導要領基準違反で「違法」と認定。さらに、直接的な罵詈(ばり)雑言でなくとも、「今日は帰るか」「中止にするか」など、「心理的負担を過度に蓄積させる行為」も「違法」と断定した。今後の実習のあり方について、大きな影響を与える内容となった。

     

    ●養成のあり方見直しへ

     

     原告が本件訴訟を契機に開設したホームページには、各地から実習中のハラスメント体験が寄せられている。「何日も眠れなかった」「自殺を考えた」「2階から飛び降りたが、死ねなかった」「本当に怖い世界」など、50件近くに達する。

     原告の訴えを受け厚生労働省は昨年6月、養成のあり方を見直す検討会を立ち上げた。同検討会の調査では学生の2割が指導者からのハラスメントを受けていたことが分かった。半数が心身の不調を訴え、9割以上が「実習を自宅に持ち帰って」いた。今回の判決で、法令改正の必要性・緊急性が一層鮮明になった。

     佳奈子さんは「夫も『よく頑張った』と言ってくれると思う。国は二度と犠牲者を出さない真剣な取り組みを」と話している。